『夕凪の街 桜の国』が話題になり、ふとこの『長い道』を手に取った。読み終わったあと、何を期待してこうの氏の漫画を再び手に取ったのかと考えて、それは余韻なのだと思った。
ふつうであって、ふつうでない人々の日常。
ちょっと変わりものな妻と、甲斐性なしの夫。ギャグ漫画のように夫婦になったふたりの、ちょっとおかしく、ちょっとせつなく、かっこいいわけではない時間。なのにどうしてかその世界に憧れてしまう、不思議な感触を味わった。夕日や午後の光がぼんやりと漫画からにじみ出てくるような、とても懐かしい遠い時間を眺めているような、そんな気持ちで読み終えた。
こうの史代氏が何となく残していくものに、私は期待してしまうのだなと思った。