表題は、呟き的・挑戦的、いずれにも受け取れる。「仏教が好きである」とソフトムードで語り始めているが、すぐ「現在の日本の仏教の堕落には愛想が尽きている」と本性が現れる。当初の意図は〈庶民の戒名入門書〉であったようだ。
本書の前半「仏教とは何かーその起源と戒名の由来ー」「戒名はどのように命名されるか」はその常識を大きく逸脱することはない。
後半は著者二人の作家的興味・関心が噴出する。本領発揮ということになる。まず、「由緒ある戒名を参考に創ってみる」…最もポピュラーなパターンを紹介し、戒名の作成方法について述べている。
本書が他書と異なるのが「戒名談義」である。時代小説「信長の棺」「秀吉の枷」の著者が戒名に関係のあるところをピックアップして具体的に話しているので面白い。意外に存在する複数の戒名。信長・秀吉一族と滅ぼされた人々のそれぞれの戒名。そして、赤穂浪士の戒名…大石良雄「忠誠院刃空浄剣居士」他の人は全て「・・・・信士」浅野内匠頭「冷光院殿前少府朝散大夫吹毛玄利大居士」
その他、歴史・時代小説を読み書きする場合、参考になりそうな戒名関連事項がかなり多く集められている。提言の賛否はさておき、作品制作中のネタのようなものを惜しげもなく広げてくれたのはありがたい。仏教の本質は「感謝」であろうから…