■ちくま文庫で毎年夏に刊行されている文豪怪談シリーズ。
■2009年の第一弾は、泉鏡花関連の百物語怪談会の珍しい資料集である。
■大正・昭和初期年代の古い雑誌の座談会やアンケートには、まだまだ発掘しきれていないほどの面白い大衆文学資料が眠っている。
■本書において東雅夫氏は、そういう貴重な文献資料を実に手際よくまとめており、注目に値する仕事をしている。一般にアンソロジーはどうしても小説一本槍になりがちだが、単行本化されていないエッセイや、座談会を集める方法は東氏の近年の功績であろう。
■とにかく何より、理屈抜きで文献資料が面白いことが重要だ。鏡花が参加している巻末2篇の座談会を、私は夢中で読みふけった。これぞ読書の醍醐味である。