本作、鏡地獄は乱歩の傑作中の傑作ばかりが収録されているのだが、私はその中の人間椅子について書きたいと思う。人間椅子はある女流作家のもとへ「あなたの椅子の下にずっと隠れていました。あなたに恋をしたので一度お話したい。」という内容の手紙が届く。恐れおののく彼女だが、手紙には続きがあり、「私は作家志望の人間で自分の書いた小説はいかがでしたか。」というものだった。こんな内容で昔から乱歩の怪奇小説の代表作と言われてきたが、私はこの作品を喜劇として読んでいる。それは人間が椅子の下にいるという発想そのものが人を笑わそうとしているとしか思えないからだ。もし、友達の椅子の下に別の友達が隠れていて、それを見ることができたなら。それは確実に面白い絵になっているのではない!!だろうか。あの切れ味鋭いラストも現代のコントのイメージと重なってくる。以上。こんな読み方もあります。