時間的には、現在進行中の正伝より未来。久しぶりにグインが主役の「ファンタジイ」系のストーリー。
グインはケイロニアに戻っているが、正妻との仲は破綻して愛妾ヴァルーサに始めての子が宿ったという、まあ、程ほどにめでたい状況だ。
そんなちょっと「ゆるんだ状況」につけ入る小粒な妖怪変化がグインの力に吸い寄せられて悪さを仕掛けてくるという話。子供が生まれるというのは、英雄にとっては「弱点が増える」ということなんだと。確かに。
弱点が出来たにしても、今回は敵が小粒だ。
世界の運命を握る異形の王に手を出す妖怪が、トカゲと時と鏡の古くなって化けたものじゃ、盛り上がりに欠けないか?
本編では延々と、肉体バトルと悪巧み合戦が続いていて、多少の理不尽はあっても基本的には「生身&理詰め」で流れは動いている。
一方、今回の外伝の「めいっぱいのファンタジーぶり」には、ちょっと虚を突かれた感じで、前後の脈絡無くファンシーな妖怪たちが攻めてくる話は「箸休め」程度なら良いのだが、まるまる一冊、短編三点セットは困った。
グイン世界では「魔道」は精神的なエネルギーで、「グイン」本人は超古代&地球外文明の「高度に進んだ科学は魔法にしか見えない原理」で動いており、「ノスフェラスの化け物」は放射能汚染による奇形と思われる。
この辺がそれぞれの背景を持っているのに対して、今回の話に登場するような単発の妖怪たちは「属性」が違いすぎるような気がする。
やはり物語の登場人物の自由度には、それなりの制約があってこそ盛り上がるのではないかと思う。