鏑木清方は好きな画家です。この「別冊太陽」のシリーズは、全ページカラーで大判ですから、名画を鑑賞するのにはとても役立つと思いますし、作品の全貌や生涯をたどれるのは嬉しかったですね。名高い美人画家ですし、肖像画においても立派な作品を残しています。
鏑木清方は、1878年に生まれ、1972年に93歳で亡くなっていますので、今年は生誕130年の節目にあたります。その意味においても出版される経緯となったと推察します。
もともと明治時代には雑誌や新聞の挿絵画家として有名でしたが、次第に日本画家として美人画を描くようになり、人気を博しました。「東の清方、西の松園」と並び称されるほどです。なお、昭和29年に文化勲章を受章しています。
60ページに掲載されている明治40年の作品「嫁ぐ人」の説明にも記載がありますが、明治・大正・昭和の着物のデザインや髪型の参考資料となるような作品も多く、着物の図案の仕事に従事するような人にとって必見のムックになると思います。
72ページの「朝涼(あさすず)」の美しさに目を奪われました。お嬢さんとの散歩の折の一こまにモデルにしたそうです。無駄な背景も演出もなく、美しい横顔の佇まいからたおやかな風情が感じられました。清楚な姿を映し出している名画だと思います。
眺めていてもハッとするくらいの美しさを線と色彩で表現できる画家はそう多くはいません。明治の香りを持ちながら今でも万人に愛される画家だと思いますので一度このムックを手に取って鑑賞してください。