やる気のない消防士・大山雄大。
「たけひろ」と読むが、みな「ゆうだい」と呼ぶ。
赤羽台消防出張所に勤務する20歳。
早く現場を離れて、9時5時の日勤に変わりたいと願っている。
管轄区内で、古いアパートで出火。
放水すると爆発し、火はさらに燃え広がる――
という不可解な火事が起こります。
現場は不法滞在の外国人摘発の直後。
警察と入国管理官が揃っていました。
やる気がないのに、どんどん現場にはまり込んでいく様子を
雄大の一人称で、コミカルに描きます。
入管係官小坂の行動の矛盾や、火事現場での消防と警察の縄張り争いなど
表面的なモチーフだけではなく、日本のなかの外国人それぞれの立場や感情、
消防士の仕事まで、細かく描きながらも、物語から逸れていかない。
すごい筆力!
やはり消防士だった雄大の父親の死や
父親が助けた子供が消防士になり、仕事に命を賭ける姿など
雄大にまつわる人生の問題にも切り込んでいきます。
それを泣かせる消防チームメンバー、イケテル母親、
市井の哲学者である親友の裕二、優雅な引きこもり中年・守など、
登場人物が多彩。
夏に火事の話はちょっと暑苦しかったけれど、オモシロさで帳消し。