霊感占い師ら4人の惨殺死体が発見された。捜査本部に加わった警視庁機動捜査隊・音道貴子刑事は、捜査一課の男性刑事と組んで捜査を開始。しかし、ペアとなった彼は出世志向が強いうえ、公私の区別もつかない愚か者だった。そんな男と組んだばかりに、音道は単独で行動する羽目になり、結果、犯人捜索中に誘拐・監禁されてしまう。
物語中盤から音道の監禁場面と警察の救出作戦が交互につづられ、鬼気迫る緊張感が伝わってくる本書は、550ページもの大作にもかかわらず一気に読める。シリーズを知らない読者にも十分に楽しめる作品であろう。また、シリーズ愛読者にとっては、おなじみの女性蔑視甚だしい中年刑事・滝沢が、今回は、行方不明となった音道を救うために奔走する点が興味深い。犯人と警察との交渉場面で一部非現実的な記述がありはするものの、ドメスティック・バイオレンスなどの女性問題、昔ながらの聞き込み捜査とUシステム等の最先端技術を混在させた警察捜査など、現代日本社会に寄り添った描写が、リアルさを追求した良質の長編サスペンスにしているといえよう。(冷水修子)
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今回の事件は、占い師殺人から音道の監禁にまで発展していきますが、監禁されている音道とそれを救おうとする刑事たちのドラマが交互に展開されています。また、いつもの乃南作品らしい心理描写が生きています。
まだ、音道シリーズを読んでない方は、文庫化された『凍える牙』をお読みになってからのほうがいいと思います。そのほうが滝沢刑事(音道シリーズにはお馴染み)との関係がよくわかって良いと思います。
たびたび、文中に出てくる「(起こってしまったことは)なかったことにはできない」という彼女のせりふがじわりじわりと効いてくる。警察組織、という特殊な環境ではあるけれども、30代の女性が人生や自分自身に対して感じている頼りなさや、足下をすくわれる恐怖、そして、いつでもどんなことが起こるか解らない、それは他人の悪意や暴力という形で自分自身を襲ってくるかもしれない、という恐れ、様々なことに、共感できる。
警察組織にも慣れ、自分なりにポジションを確定したつもりでも、
「女であること」から逃れることはできない。
そのことを、今回、彼女は自分の組織の人間と、犯罪者達から教えられる。
とことんまで追いつめられ、自分自身の誇りを見失ったかと思えたとき
彼女が自分自身を取り戻したのは、、、
大部ですが、一気に読める、読まずにいられません。
彼女を放っておけないのです。
人間として、警察官として、彼女が迷い、苦しんでいる姿をすぐそばで見ているような気分にさせられます。
それは、彼女とかつてコンビを組んだあの「滝沢警部補」も同様のようです。
彼に対して、少女のような向こうっ気をだして、ついつい突っ張らずにいられない貴子の心理状態もおもしろいです。
検察官シリーズのケイ・スカーペッターとマリーン警部補の関係によく似ています。
恋人にはなれないし、友人ともいえない。
しかし、理解者ではある、彼の存在がこの本の世界の根底を支えているように思います。
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