レビューを書くのは初めてですが、拙いながらも書かせていただきます。
私はずっと貴志さんの本が好きで、出版されたものは全て読んできました。もちろん密室シリーズも一作目から大好きでした。ですが、三作目の本書は変わらぬ面白さはあるのですが、なんとなく物足りない気がしました。具体的な理由としては、
・四つの作品が一冊の本にまとまっているためなのか、一つひとつの話が短いこと
・四作あるうちの二作で、犯人の視点から描かれているわけでは無いにも関わらず、犯人がほぼ明らかになっていること
が挙げられます。それと、個人的ではありますが、私は最後の劇団シリーズ(?)があまり好きではありません・・・
理由の説明をさせていただきますと、
まず、話が短いことについては、厚みはあるのですが、話に引き込まれる度合いが違うと思います。密室もので話を長くするのは大変だと思いますが、今回は全体的、特に二作目以降は、場所の移動や日時の経過の描写、それに読み進めていくのと同時に事件が起こっていくような進行形の描写が少なく、主人公の動きも少なかったように思われました。少なくとも私は、本書の作品よりも一作目の「硝子のハンマー」の方が入り込み易かったように感じました。
また、犯人がほぼ明らかに、と言うことですが、私はこれによって楽しみが半減してしまったように感じられました。もちろんこのシリーズはあくまで密室ものですので、目的は犯人探しではありません。しかし、犯人を限定してしまうことによって必然的にどのような手段を使ったのか、動機は何か、など、ミステリの醍醐味が少なくなったように感じました。
これらの理由から物足りなさを感じ、残念ではありますが★3つとさせていただきました。