プッチーニのオペラアリアがナポリ民謡を挟む構成になっている。錦織健コレクションの1つであるが、好き嫌いが分かれるような気がする。錦織氏の中音域はとても綺麗で魅力的な声質である。このアルバムでは、8.「マノン・レスコー」~なんとすばらしい美人、9.「マダム・バタフライ」~さらば愛の家、10.「トスカ」~妙なる調和などでは、その中音域の美しさが十分に発揮されている。しかし、表題の1.「トゥーランドット」~ネッスンドルマはドラマチックテノールのアリアで、全体の力強さに欠け、最後のvinceroは非力に聞こる。間に挟まれたナポリ民謡は凝った演奏である。アコースティクなシンプルな伴奏で、殆ど、地声に近い発声で歌われている。情感豊かではあるが、アリアの間に挟まれているだけに、異質感や違!!和感は拭いきれない。特に、ジャズ風のアレンジの5.マッティナータは完全に興ざめである。斬新な構成という評価もあり得るが、錦織氏のオペラ歌手としての魅力、そのベルカントを堪能したいと思って聞くと完全にはぐらかされた気分になる。数少ない実力派テノールとしての活躍を期待している。あっさりと、クロスオーバーの道に走って、小器用な歌手にはならないで欲しい。