前作劇場版終了から4年半を経て、新たなるスタッフによる新たなる鋼が開始された。
今作は基本的に原作の展開をなぞりつつも、新しい視点が織り交ぜられている。
主役キャスト2人は前作から引き続き演じているものの、他主要キャラが新キャストあるいは役柄変更(これに関しては疑問が残るにせよ)という、映画終了時からたった数年で、しかも前作が大ヒット作という現状を思えば無謀な冒険としか言えない事態なのが特徴か。多くのファンが持つ既存のイメージをぶち壊そうとすること自体は今作が前作とは別物である以上納得はするものの、やはり数年来ファンとして抱えてきた声のイメージを一部変えることに手間取ったのも確か。
故に最初から賛否両論あるのは製作・制作スタッフは最初から分かっていたはずで、今作の作品作りのためにあえて冒険に出たこと自体は評価したい。
ただし、2008年夏に発表された前作のBOX-SET購入者対象のメモリアルイベントの内容がいつの間にか今作キャストの調印式に、某インターネットラジオやイベントに旧キャストを交えたり、携帯サイトの着信ボイスに旧キャスト陣のものが配信されるといったもろもろのことから、ファンに無駄な期待と誤解をさせてしまったやり方には少々納得いかない。もう少し前作ファンを思いやった、そして最初から今作のための宣伝は出来なかったのだろうか。
この1巻に収録される第1話は監督のたっての希望のもとで荒川弘が原案を起こしたオリジナルキャラ・アイザックが見どころ。第1話単体でも楽しめるとは思うが、より深く楽しむには原作コミックス(2009年7月現在22巻まで刊行)を全巻読むことをお勧めしたい。映像のひとつひとつに「にやり」とできるだろう。逆に言えば説明も何もなしに物語が展開するために原作を読んでいなければよくわからない部分もあるが、これは2話以降の物語を丹念に追っていけば次第にわかってくるはずだ。
子供向けが意識されているせいかギャグシーンが原作よりもかなり多めになっている。アニメとしての表現ではなく漫画としての表現(ふきだしや書き文字、画面分割)もかなり多くなっているので、いかに原作どおりの展開であろうと好みの差は出るだろう。
そして、2話以降はかなり展開が早い。展開が早すぎて「間」や「余韻」がほとんどないのも残念なところ。もっとも少しずつ良くなってきてはいるものの、ファンとして最初から良い作品を期待するのは贅沢なのだろうか。「前作と内容がかぶるところだから早くても仕方ない」ではなく、内容がかぶるからこそ丁寧に作るべきだ。なぜなら1クール目の物語はこれから先の展開における全ての基礎なのだから。基礎をおろそかにしてどうして後半の物語を描けるだろうか。
これから先の入江監督以下スタッフ陣に期待半分、不安半分と言ったところだろうか。