物語もクライマックスの23巻。
キャラクターや伏線の回収に一切無駄がなく、ストーリー構成と演出の上手さは今巻でも健在です。そりゃ、もう1回原作に忠実なアニメも作りたくなるわな(笑)
さて、表紙からもお察しの通り、今巻での最大の見所はマスタング大佐vsエンヴィー戦です。4巻から続く因縁にいよいよ終止符が打たれます。
実はこの巻を読むまで、イシュヴァール戦の引き鉄を引いたエンヴィーこそが、全ての恨み辛み、憎しみの根源だと思っていました。
でも、それは少し思い違いだったようです。
憎しみに身を委ねると決めるのも人なら、それを赦すのも人。誰の心にも憎しみの連鎖を生み出す「種」みたいなものがあって、エンヴィーもその種みたいなものを持っているに過ぎなくて。唯一違ったことは、それには「嫉妬」という変えられない名前が付けられていたことぐらいでしょうか。
だから、人間がその種に向かい合って自らを律したのを見た時、自らそれができなかったエンヴィーは激情を吐露し、涙し、嫉妬した。それしか出来なかった。
不死に近い肉体と人を越えた能力を持つホムンクルスという、人に近いようで絶対に人では無い存在をもってこそ描ける人間の本質的な部分を、少しばかり自覚させられた気がします。高尚ぶったことを言うつもりは毛頭ありませんが、憎しみは、赦すという可能性があって初めて意義のある感情なんだなと思います。