エドとアルの旅は、最初、「賢者の石」を求める旅でした。
この巻を読んで、気付きました。
それはつまり、「父」を求める旅でもあったのだと。
今のエドはもう「賢者の石」を求めていません。
18巻でキンブリーに石を示されても、迷わない。むしろ逆手にとって騙すほど。
ここまで待って初めて、作者はホーエンハイムの正体を明かすのです。
何と言う構成でしょう!
エドとホーエンハイムの初邂逅は、10巻です。
「誰も犠牲にしない方法で前へ進む」 そう、エドが決意を述べた回。
その場所こそ、全てが犠牲となった土地、クセルクセス。
そして19巻で、ホーエンハイムの正体を明らかにした上で、
エドに「誰かの犠牲による賢者の石」を使わない錬成を、実践させる。
何と言う構成でしょう!!
また、ホーエンハイムの正体が明らかになるということは、エドの正体も
明らかになるということです。
なのに、これっぽっちも、特別な存在たる主人公、という描写が無い。
そんな設定に寄りかからず、ここまで魅力的な主人公を造る。
この、作者の筆力。そして潔さ。
また、作者はこの巻執筆中に、入院しています。
そのため、雑誌連載ページ数を減らしており、19巻は5話収録となって
います。(通常は4話収録)
それでも、これほどのクォリティ。
並大抵のことではないと思います。
文句無しに面白い。素晴らしく上手い。
何度読み返しても発見がある。
大好きです。