現在の日本の漫画で、コレが載っているから雑誌を買おうとまで思わせる作品を、私は二つしか知らない。一つは冨樫義博「HUNTER×HUNTER」。そしてもう一つがこの「鋼の錬金術師」である。
この二つの作品に共通する最も大きい魅力は「オリジナリティ」だ。やはりフィクションというものは、オリジナリティが何よりも大事なのだということに気づかされた。「ハガレン」の魅力は、キャラクターもさながら(特にアルがいい。ごつい大きい鎧が可愛く見えるほどしっかりとキャラクターが作られている)、その設定にこそオリジナリティがある。錬金術という主題に、「等価交換」や「人体錬成」という制約を付け加えることで、夢物語であるはずの錬金術を、「科学」「軍隊」「生と死」といった現実的テーマと見事にマッチさせている。これで人気が出ないわけが無い。
さて、この巻ではさらにそのオリジナリティを見せ付けてくれた。ネタバレになるが、グラトニーの腹の中に取り込まれたエドたち。まずそこの空間たるや「現実」と「真理」の狭間というこれまた凄い場所だ。「真理」などとあまりに大きいことを言われると、大抵逆に嘘っぽく陳腐になってしまいがちだが、何故だろう、ハガレンには嘘っぽさが全く無い。この空間からの脱出法も、なんたるオリジナリティあふれることだろうか。ネタバラシは良くないので伏せておく。
このように言葉をいくら重ねても、到底「ハガレン」の凄さを語った気にはなれない。もうこれは読んでもらうしかない。この面白さ、語る言葉も無し。