漠然とした憧れの対象になりやすいが、あまり内幕が知られていない業界の金(青木雄二は「銭」と言った方が実感があると書いていた。そのとおりである)の流れを、数字を挙げて解説するまんがとして始まった作品である。第1巻は原型を保っているが、その後次第にドラマとしての性格が色濃くなる。この第4巻(ペットブリーダー、声優、骨董商)では、具体的な数字はもはや主題ではない。なお案内役は霊魂であり、どこへでも行け、何でも見られる。便利な視点である。また、ギャグとシリアスとが微妙に配合されており、読み飽きない。
この作者は講談社ブルーバックス「マンガ化学式に強くなる」で知った。絵は類型的だが、美少女を描くと結構上手く、注目していた(先生役の男の絵はおざなりであった)。この「銭」でも同様で、年季が入った分、美少女の絵はさらに洗練度を増し、一方で、男は概して気持ち悪く描かれる。本来はルポ・調べものを得意とする人らしいが、美少女と変態系オタクを描いたら一流という、典型的なサブカル・萌え系のまんが家である。しかし一方で、「萌え」の本質を冷たく言い放つセリフが本巻にある。なかなか一筋縄ではいかない。
実に丁寧に作られた作品であるが、できれば第1巻の資料性を維持して欲しかった。それでも私にとっては、新刊が出たら即買う、数少ない作品のひとつになった。