掘り下げがない。200床程度の田舎の公立病院では、医師の新臨床研修制度より医師の欠員が生じ,医業収益の低迷が生じている。人件費率が高いため,急激に経常損益の赤字が拡大しているという現実がある。本書は銚子市民病院のドタバタをルポしたものであるが、地方の公立病院が抱えている共通の問題に対し、筆者が問題意識を持っているのかが感じられなかった。
銚子市民病問題については、東北大学医学部の伊藤恒敏教授が書かれた「暴かれた地域医療の実像」があるので、一緒に読まれるとよい。ただ、「暴かれた地域医療の実像」は平板な記述で読むのが退屈となるであろう。
また、平成18年に最年少市長となった,武雄市長樋渡啓祐氏著の「首長パンチ--最年少市長GABBA奮戦記」が武雄市民病院の民間移譲について、医師会と反対とその後の経緯を詳細に記述している。地方公立病院の問題の解決方針は、首長のブレない明確な意思の実践しかないということがよく分かる。本書より、数倍理解が深まるのではないかと思う。