☆映画の舞台は第一次世界大戦が三年目を迎えた戦時中の1917年。逃亡罪で軍法会議にかけられる事になった、ハンプ二等兵(トム・コートネイ)。そのハンプの弁護を命じられたのは、若き大尉ハーグリーブス(ダーク・ボガード)だった。最初はこの弁護に消極的だったが、ハンプの生い立ちや逃亡の理由を聞く内に、彼の実直な人柄と素朴な心に惹かれ、次第にこの弁護の仕事に真の責任を感じるようになる…。そして、ハンプの命運を左右する、緊迫の軍法会議がついに開廷。ハーグリーブスの必死な弁護や軍部関係者の様々な証言を交えながら軍法会議が進められるが…。という、今現在でも癒えない【戦争】の悲惨な傷痕を観ていて憂鬱な気分になってくるほど酷烈に描いた、反戦映画の一大収穫と言うべき幻の大名作。その丹念な客観的描写には一種のヒューマニズムと尊厳が込められており、差別や弾圧、または、軍国主義に対する辛辣な批判や抵抗感が画面全体から凄絶に伝わってくるし、甘い妥協が一切ない、ジョセフ・ロージー監督の怒りのこもった、リアリスティックな演出力と荒廃としたモノクロ映像が作風に現実味をもたらしている。戦争とは社会に潜む歪んだ心理や意識に存在すると訴えた作品でもある。皮肉と諷刺が調和した、意味深い悲痛な終幕も忘れ難い(落涙)☆。