「俺は行くよ。この旅の終わりを、知るために。」
「わたしが、あなたを守るから・・・!」
本格ファンタジー大河小説、堂々ここに完結。
終わりました、セドリックの旅が。
長かった・・・。
14で旅立った彼が、旅路に決着をつける時には17になっていた。
まるで彼の成長を見守り続けてきたかのような話だった。
そして、事実そういった物語でもあった。
世界を回り多くの人と出会い、親交を持ち、中には相容れずぶつかり合う者もいた。
そういった人らと命の奪い合いをすることも一度や二度ではなかった。
その結果、時に体を傷つけ心までも傷つくことがあった。
そうして立ち止まり、時をかけて傷を癒やし再び立ち上がる。
その繰り返しが3年という歳月となり、彼を大きく成長させた。
時の流れがあり、人の成長を見届けられる物語というのものはやはり良いものだなぁ、としみじみ思う物語だった。
さて、そういった銃姫シリーズだったが、最終巻はというと、最後にふさわしくあまたの欠片が繋がり大きな絵を描くかのごとき怒涛のラスト。
最終的にセドリックとアスコリドという個の激突というちっぽけな枠をぶち破り、人のエゴと歴史の全容を明かし、その贖罪をめぐって世界の在りようを説く/解く物語になっていた。
水の精霊王、メンカナリン、スラファト・・・そして、銃姫。
すべての謎が解き明かされひとつのところに収束し、腑に落ちる過程は読み応えあり。
また、アルコリドを悪としセドリックを善とした単純な勧善懲悪の物語ではない点も秀逸。
そして、当初から群像劇を描く構想で書き始められているおかげか、登場人物が増えていった結果収集がつかなくなるといったこともなく、各人の営みとその存在が物語の連環の中で見事に機能していた。
特にプルートの物語は“個人”の物語としては、セドリックやアン、他の誰をも差し置いて一番のハイライトかも知れない。
また、かねてより懸案だったエルウィングも幸せな結末を迎えているなど、諸々のことに消化不良のない綺麗な終わり方をしている。
昨今の潮流からすれば決して“売れる”タイプの作品ではなかったが、魅力的な人物達、充実したストーリー、長編としての完成度どれをとってもお気に入りの一作となった。
こんな満足感のある長編は久しぶりです。
(尚、10巻で見られたような誤字は11巻ではほとんど見られない)