久しぶりに読んだ筒井作品ですが、先生はまだまだ健在でした。
各地区ごとに一人だけが生き残れるという老人同士のバトルロワイヤル。
最初から最後まで容赦のないバトルシーンの連続ですが、殺しあう老人たちを決して醜く描いておらず、むしろ彼らの一筋縄ではいかない狡猾さを美点として描いている印象があります。
従って、読後の印象は、先生もそれなりに丸くなったなあと言う感じです。
主題を聞いて悪趣味と手に取らない人もいるのでしょうか。
が、筒井先生が今の社会のありように本気で怒っているのだということが、自分にはひしひしと伝わってきました。
老人を切り捨てておきながら、障害者は除外するという「思いやり」的処置。
あるいは主人公の九一郎(カッコいい!)が折々に口にする政府批判。
本書で筒井先生が投げかけているのは、むしろ下の世代に対する、年寄りとしての正しい怒りであると自分は思いました。
我々の社会には、こういう嫌われ役の老人が常に必要だと思うので、星5つ。