あの問題作「バトルロワイヤル」では、中学生が生き残りをかけて孤島で闘ったが、この「銀齢の果て」は闘うのは70歳以上の老人である。作者筒井氏も、71歳なので等身大の老人像になっているのではないかと思われる。
でも、単なるパロディではない。
「殺し合いの対象者」となった老人達は、年老いているだけに世間を良く知っている。その腹のさぐり合いや、老獪な作戦のたてあいが流石と言わざるを得ない。
コビトプロレスや捕鯨など、「ある権利団体」の発言から閉め出された業種も若干あり、血なまぐさい内容の中にちらりと「良心」を見せているのも、実ににくい演出だ。
老人も含めて「本当に怒りを向けなければならない対象」を確認する所が終盤出てくるが、この場面がなければ本当に救いのないドラマになっていたかも知れない。
★を一つ入れなかったのは、おそらく果てしない阿鼻叫喚の現場に立ち会えず投げ出してしまう人が、少なからずいるだろうと思ったので。
万人向けの作品ではないという意味で、筒井氏には申し訳ないけど一つ分マイナスにした。
しかし、老人問題を考える「反面教科書」としてなら、ツツイスト以外にも必読の一冊になるだろう。
私自身は、広島地区で生き残った八木熊という婆さんのその後の人生が知りたいと思う。