劇場版が封切りされ一週間が経ち、銀魂ファンとしては一息つく頃かと思いきや、何より絶好のタイミングで発売された本巻のバ
ラエティ溢れる内容がそれを許さなかった。ファンとしてこんな嬉しい悲鳴はない。
普段地味キャラの新選組偵察・山崎が珍しく美味しい処を持っていく「あんぱん編」や、「あの人達」まで登場する「年賀状編」等短
編の魅力も捨てがたいが、今回の見所は何と言っても後半の「キャサリン結婚編」と長編「四天王編」だろう。これらのエピソード中
で、これまでまとまって語られてこなかったお登勢と銀時の関係に大きく焦点が当てられている。
グッと来たのはお登勢と銀時が二人で酒を交わすシーン。こうして見ると、感情をストレートに表現するのが不得手なところ、誰か
らも束縛を受けない自由人としての佇まいは正に似たもの同士の母と息子の様。このシーンがあったからこそ次の「四天王編」の
展開が読み手の感情にじんわり効いてくるなんとも心憎い構成になっている。詳しくは書けないが、本巻終盤シーンでの銀時のあ
の血走った眼の凄みは忘れられない。久々に本気でキレた彼を見た気がする。
こういう人同士の絆を粋なタッチで読ませるから、この作品が止められない。下手な道徳の教科書よりも、人として大切なことを決
して説教臭くなることなく、しかし説得力をもって教えてくれる作品。少し大袈裟だが、真面目にそんな感想を持った34巻だ。