本巻は過激な下ネタ、また最近最も危惧していたギャグ篇での無理矢理な空回り感(ネタの分かりにくさとも繋がる)は控え目で、ここ
数巻では最も読者に抵抗の少ないと思われる好内容。特に土方のギャグでない見せ場に飢えていたファンは満足できるのでは。
まず「ホスト篇」は歓楽街を渡り歩く謎のブルジョア婦人・マダム夜神を巡ってのエピソード。面白いのが、銀さんの侮れないナンパ術。
普段の眠そうな表情とはうってかわった「いいひと」の顔でソフトに女性を惹きつける巧妙さ!最後のある「オチ」さえなければ結構イイ
線いってる女性の扱いの手馴れ具合に、彼曰く「三次元では」でなく、地味に作品中でもモテる理由が見えたような。
本巻の柱は「バラガキ」篇。普段の「鬼の副長土方」としての顔ではなく、真選組に預けられた名家の愚息・鉄之介に自らを重ね育て上
げる、ある意味兄のような彼の珍しい一面が垣間見れる話。本篇で長い間伏せられてきた土方の出生の謎が初めて明らかにされる。
本篇での土方と、従来の弛んだ生き方を改め必死で彼の厳しい指導に食らいつく鉄之介からは、万事綺麗事では済まされない人生で、
はみ出しものの立場に生来追いやられた者にしかわからない痛みと、それを超え這い蹲る逞しさを感じる。実に銀魂らしいエピソードだ。
そして、血の繋がりを超えた絆も。本巻のラスト、土方とある人物の間に交わされた「手紙」の如何にも不器用なエピソードは必読。
壁にぶつかった際、無視するでも開き直るのでもなく、社会と折り合いをつけながら生きることこそ本来のあり方、という土方から鉄への
諭しの台詞、恐縮ながら自分の思い通りにならない職場という社会で揉まれてきた者として強烈に身につまされる。こういう台詞に出会
うと、改めて銀魂は大人の読み物かもと感じる。銀魂のこういう部分は説教臭いと嫌がる方もあろうが、私は心を動かされた。
今後新たなラスボス一派の一員となりそうな見廻組局長・佐々木異三郎の存在等、何気に今後の展開に絡む布石の多い巻だ。