感動がうまく言葉にならない。ただ一つ伝えたいとすれば、素晴らしいものを届けてくれた銀魂スタッフへの感謝の気持ちだ。
絆というテーマを描いた名篇「四天王篇」、原作を読んだ時からアニメ化を待ちに待ったエピソードである。アニメ二期の実現を
知った際真っ先に思い浮かんだのが本篇で、期待に胸膨らませる一方で原作の感動が崩れることへの不安も多分にあった。
また本篇は銀魂という作品上でも重要な位置を占め、スタッフもその点を承知の上相当なプレッシャーの中作られたに違いない
が、スタッフの底力と作品への愛情が十二分に刻まれ、ファンとして惜しみない拍手を贈りたい素晴らしい出来だと思う。
銀さん、次郎長、平子、お登勢…登場人物の一挙一動に目が離せず体が固まってしまう。一人で観ていたので確かめようがない
が、溢れる涙を拭うこともなくスクリーンをずっと凝視していた自分の顔はぐしゃぐしゃになっていたに違いない。ここまで作品に対
し心をかき乱されたのは本当に久しぶりのことだ。
主要人物役の人選が光るが、特に次郎長。独特の抑えた口調の中に気性の激しさとどっしりした貫禄を漂わせる難しい役柄だが
、選ばれたベテラン菅生隆之氏はまさに嵌り役。強力ゲスト陣に負けじと、レギュラー声優陣もいつも以上の力の入り様が伝わっ
てくる。無気力に陥った銀時を周りが叱咤するシーンで、新八役阪口氏の激しい語り口には鳥肌が立つ。
演出部分では、辰五郎の墓でのシーンの緊迫感が凄まじい。銀時がお登勢を見つけた瞬間挿入される数秒間の無音、次郎長の
剣が突き立てられた銀時の腕からどくどくと脈打つ動きに併せて流れる血の表現…全てが目を背けたくなる程痛々しいのにその
描写に釘付けになり、次郎長と銀時が疾風の速さで刀を交える度ずきんと胸が痛み涙が流れる。銀魂はシリアスな演出も多いが
、ここまで深い悲しみを覚えたことは無かった。美しさまで感じさせる見事な演出は銀魂スタッフの汗と涙の結晶である。
4年以上を数える銀魂アニメ史の総決算といって良い力作四天王篇、浄も不浄も含んだかぶき町で綴られる過酷、だが温かい物
語からは多くの大切な感情をもらった。流血を始め若干過激な表現を含むが、たくさんの人に観て欲しいと思う。
(不満点を挙げるならば他の方も指摘している複数巻への跨り。映画の様に鑑賞したいのでここはDVD1巻分に纏めて欲しかった。)