登録情報
|
ストーリーは、メディチ家傍流の若者ロレンツィーノが、暴君アレッサンドロに憎悪の念を抱き、そして暗殺実行に至るまでの一連の流れを軸に展開される。しかし、あくまでもこの小説の主役はロレンツィーノやアレッサンドロといった一個人ではなく、16世紀前半のフィレンツェという都市である点が特徴であり、当時のフィレンツェの政治的・思想的状況、そして人々の暮らしぶりなどが、眼前に浮かんでくるように、活き活きと描かれている。これを可能とする筆者の知識、筆力は脱帽ものである。
ルネッサンス時代のイタリアに興味がある人には、楽しみながら歴史・文化への理解が深まること請け合いであり、お勧めである。
歴史小説で面白くもあり、また危険でもあるのは、どの部分が創作によるもので、どの部分が事実に基づくものかということだ。この「創作」が塩野氏は実に巧みだ。下手な創作などには、全く興をそがれてしまうが、塩野氏の作品には、著者からの謎掛け(?)を解く楽しみもある。関連して言えば、『サイレント・マイノリティー』の「歴史そのままと歴史離れ」で、著者自身がそれについて述べている。
16世紀という時代、フィレンツェという都市、このころの貴族の生活などを、著者は完全に自家薬籠中のものにしており、自在に話を展開している。
フィレンツェの僭主制から君主制へ向かうプロセスを、ヴェネツィアの共和政体と鮮やかに対比する手腕。政治や国際政治の議論を、登場人物たちの会話に織り込む話の巧みさ。大国スペインの影を、スパイを通してさりげなく描く仕掛けなど、本当に舌を巻いてしまいます。
歴史ってこんなに面白くも書けるものなのですねー。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|