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銀糸の記憶―辺見庸掌編小説集 白版
 
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銀糸の記憶―辺見庸掌編小説集 白版 (単行本)

辺見 庸 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

辺見庸の文芸仕事が一堂に会する初の作品全集。「銀糸の記憶」「覗き癖」「光る花」「王同志」「カブール」「くずきり」「ミュージック・ワイア」など41作品を収録する。


内容(「MARC」データベースより)

大陸の空を舞う美しい遊糸。夢のような一瞬を描いた掌篇「銀糸の記憶」。「ラブ・ミー・テンダー」「迷い旅」「ミュージック・ワイア」など41作品を収録。人間と風景と記憶の不思議さ、奇妙さをテーマにした作品群。

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5つ星のうち 3.0 銀糸の記憶, 2005/1/28
記者として、もの書きとして、旅をする中で
辺見さんが見てきた記憶の風景のかけらを集めた掌編作品集。
あるいはいつか頭で描いたいくつかの小さな小説と。

なんでしょう。
なにもかもをみてきたような目の奥に、たくさんの記憶を携えながら
立ちつくすその人はむしろからっぽみたいにみえました。
ひどく混みあった都会の一角が、ときとしてむしろ漠たる砂漠を思わせるように。

その人の見た数多の風景の記憶たちは繰り返し呼びおこされ、
咀嚼しては反芻されするうちに彼の中で交じり合い、渾然となっていったのでしょう。
語られたものよりも語られなかったものの重みが。生の重さで届きます。

細部を失い、渾然となった記憶はまるで縒りあげられた一筋の銀の糸のよう。

見上げれば空の下、無数の銀糸が光を受けてきらきらとひかります。
それそのもので光を放つのではなく、
訪れる光をその身に映してさらさら流れる銀の糸みたいな記憶の掌編。

その空に舞う銀の糸の記憶もまた言葉にしえない彼の中の一編で、
遊子(ヨウスー)というのだそうです。
晩秋にクモの群れが一匹一匹尻から糸をたれながしながら、
一斉に空中を移動するその現象を、彼は中国でみたのだそうだ。

表題作でもあり、表紙を開いた一番最初にはじまる
その短い文章をそのままこの本そのもののようである、と。
思うのです。

空に漂う銀の記憶を、ぽかんと口をあけて眺めるみたいに読みました。
そういう本でした。

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