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銀漢の賦
 
 

銀漢の賦 [単行本]

葉室 麟
5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

商品の説明

第14回(2007年) 松本清張賞受賞

内容(「BOOK」データベースより)

少年の日を共に同じ道場ですごした家老と郡方役。地方の小藩の政争を背景に、老境をむかえた二人の武士の運命がふたたび絡みはじめた―。第14回松本清張賞受賞作。

登録情報

  • 単行本: 245ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2007/07)
  • ISBN-10: 4163262008
  • ISBN-13: 978-4163262000
  • 発売日: 2007/07
  • 商品の寸法: 19 x 13 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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32 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
やられた・・・・久しぶりにすごい作品に出合ってしまった。
武士も百姓も関係なく、こころざし高く気骨のある人間がみせる武士道精神。
うなるような気迫と生きざまに震えた。

濡れ衣を着せられ暗殺された父の仇を討つため、最後は家老にまで のし上がった男。
家老になる決め手となった手柄は、藩を揺るがす百姓一揆の弾圧で、
その一揆は、皮肉にも身分の違う幼き頃の親友3人が、
指揮官と鉄砲隊員 対、百姓一揆のリーダーとして向い合った事件でもあった。

私欲を捨て大義のために生きぬいたつもりでも、ほんの少しの気のゆるみや
なにげなく振り払った火の粉が、知らないところで人に致命傷を与えているという
人間界の非合理さを思い知らされた。

現代人が武士の言動に感動するような ぬるい時代小説ではなく、
江戸時代の武士が読んでも、きっとこの作品に共感し感涙したはず。 本気で骨太作品です。
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 1791
形式:文庫
一人は文武両道で両親の仇をとるために家老まで登り詰めた将監、
かたや武術に優れているが郷回りのままの源五。
幼馴染であった二人がもう一人の親友、十蔵の死をきっかけに源五が縁を切ったが、
二十年のときを隔て将監の命を懸けた思いを知って、暗殺を命じられたにも関わらず
将監の脱藩を助ける源五。この二人の友情に胸が熱くなる。
主人公たちは50代であるが、そんな年齢を感じさせない志の高さ、
行動力をもっていて、年下の追っ手にも真っ向から立ち向かう姿がなんとも清々しく
骨太さを感じ、読み応えのある一冊。
また友情を示す「天の川」=「銀漢」は燻銀のような彼らにふさわしく渋いタイトルだ。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 山科のうし トップ1000レビュアー
形式:単行本
まずは作者の直木賞受賞を祝いたい。
ようやく葉室麟をかじりだしたばかりの私にも、受賞は嬉しいことだった。

受賞作『蜩ノ記』は未読だが、粗筋を見る限り、自分がこの作家の核心的な部分と思っているもの、
「葉室麟らしさ」の理解は間違っていないと思った。
それは、苛烈な宿命を峻烈な意志で背負うというモチーフである。

そして私にそう思わせたのは、
間違いなく葉室麟の典型的な作品であると確信したこの『銀漢の賦』だった。

当たり前だが、時代小説にもいろいろある。
大別すれば、アクション中心、戦い中心のものと、そうではないものになるだろうか。
もちろんどの小説にも両者の要素がいろいろ入り混じってはいるのだろうから、
その度合いから受ける印象、という程度の話である。

後者の代表のひとりに、藤沢周平があるといえるかもしれない。
この『銀漢の賦』も後者。
実際、宮部みゆきは、その葉室麟評の中で、藤沢周平を思わせると言っているらしい。

ここでもアクションはあって、とくに大団円では大事な要素なのだが、
しかし基本は、もっと心の問題、人と人との絆や、
侍として人間として、人生どう生きるか、というような問題だろう。
精神性にこそ焦点がある。

江戸時代は老中が松平定信であった頃、九州あたりらしい架空の月ヶ瀬藩が舞台である。

中心人物は二人、名家老の松浦将監と、あまり評判のよくない平侍の日下部源五。
当時としては老境に差し掛かった二人、将監が源五を共に加えて、
新田開発の視察をする場面から物語は始まる。

だが今はほとんど付き合いもなく身分も違ってしまったこの二人、
実はかつては親友同士であった。
なぜ二人は仲違いしたのか。なぜこうも身分の差がついたのか。
平凡といえば平凡な謎が、深い意味合いと興味を伴って展開されるのはまさに作家の腕だろう。
何も殺人の真犯人や、迫り来る敵の正体だけが謎ではないのだ。

謎は意外にあっさりと答えが描かれたりするが、またさりげなく別の謎が次々に提示される。
その自然な運びがいい。何しろ二人とも歳はとっているわけで、
するとその人生には外から見ればいろんな謎があるだろう。
言い換えれば、人生とはそういうものではないか。
そういうふうにして、この小説は、
人がひとりひとり生きていくことの重さと深さとを浮かび上がらせる。
もちろん物語として、謎の中身がまた面白いのではあるが。

謎をいうなら、物語の結末に至る展開も謎としてある。
この時代の、侍としての生き方は厳しいものとして描出されているから、
安易な感動狙いの物語にしばしばあるような、
ご都合主義的ハッピーエンドをすぐに予想できたりはしない。
友人同士が斬り合うような展開もありえるわけで、先が見えないのも面白い。

この作家の一面は、「葉室麟」というペンネームからもうかがえるだろう。
スタイルにこだわるのである。
それは題にもはっきり現れている。
そうしたスタイルはまた味のある教養をも伴うもので、
その筆が描き出す人物像にも味わいがある。
しかしけっして高尚で近寄りがたい、というものではない。
むしろ主人公というべき源五の描き方は逆であろう。しかしいい。この人物は実にいい。

百田尚樹の『影法師』を連想させるものがあるかもしれない。
設定なども似ているといえば似ている。だが、あちらの小説が、というより百田尚樹という小説家が、
情感タップリ感を持っているのに比べると、
こちらは重い主題にも関わらず、いかにもさらりとしている。
それは作中にも描かれているような、人生に対する処し方かもしれないのだが。
それが気に入れば、けっこうはまるのではないかと思う。

エンディングも、この作家らしいこだわりのある洒落っ気が感じられてよかった。
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