上下巻合わせてほぼ800ページにも及ぶ大作.デビュー作「花狩人」の後日譚であり、銀河連邦の捜査局員オージュール・バラジュデーラの孤独な闘争が描かれます.彼の協力者となる女テロリスト、キノ・グラースのキャラクターが際立って格好よく魅力的(彼女の所属する組織の名はジガ・ヴェルトフ.そのまんま遊びネタ).本作ではいわゆる一般的なSFっぽい設定、例えば宇宙豪華客船、漂流する宇宙都市、放棄された植民惑星とそれを統御する惑星ブレイン、等々が野阿さん一流の解釈/表現で描写されて面白いのですが.話の内容としてはとても重くて暗く陰惨です.作者の創作時系列的には本作はかなりの初期であり、個人的には光瀬龍氏の「百億の昼と千億の夜」に先立つ「たそがれに還る」の位置づけに相当するのでは?と思います.万人必読の傑作とまではいいませんがファンなら読むべしッて感じです.(下巻もレビューします)