ラインハルトによる同盟侵攻が開始される第五巻は、全十巻にわたる物語の中の、ちょうど折り返し地点となるようです。
<風雲編>と銘打たれるとおり、世界が大きく動きます。
その流れの中で、これまで「負けないこと」を最優先としてきた“不敗”のヤンが、ついに「勝つこと」を目的として、“常勝”ラインハルトと正面衝突する……物語前半のクライマックスだけあって、読み応え満点です。
三巻、四巻のやや小康した展開に飽きてしまっていた人も、この五巻を読めば間違いなく満足できることでしょう。
また、この五巻の魅力は単に戦闘面だけではありません。
ヤンの私生活における重大なエピソードであったり、栄華を誇るラインハルトの心の空虚であったり、ロイエンタールの忠誠心に潜む微妙な陰であったり……人間ドラマとしての魅力も満載です。
「腐敗しきった民主主義」と「名君による専制政治」とでは、はたしてどちらがより良いものと言えるのか。――民主主義国家の国民として、これらの命題を考えてみるのも一興かもしれません。