子供のころ、SFファンだった兄からこの本を借りて読みました。内容はわたしがいうまでもないことですから、挿絵にご注目。カバーからわかるように、ちょっと変わってますよね。
本自体手元にないので名前はわからないのですが、名のあるグラフィック・アートの作家が手がけていたと思います。技法的にはいわゆるコラージュ。シュールレアリストのマックス・エルンストがやったように、新聞や雑誌の切抜きなどを貼り合わせて、文脈をはなれたイメージがかもし出すおもしろさを楽しむ手法。イメージとしては、映画「2001年宇宙の旅」のラストシーンの雰囲気でしょうか。
最初に読んだときは、ただへんな挿絵だなと思っていたのですが、大人になるにつれてだんだんおもしろさがわかってきました。権力者と民衆、権力者の孤独など、ストーリーにあわせたメッセージが読み取れて、物語に深みを与えてくれます。今では私にとってアシモフの"Foundation"といえば創元推理文庫版、厚木淳訳の「銀河帝国の興亡」シリーズ3巻本しかありません。古書でしか手に入らないのが残念です。
1960年代は現代アートの開花期、SFがシリアス・ノヴェルとして受け入れられるようになったことを背景にして、SF出版ではヴィジュアル面においていろいろな実験が行われていました。レンズマン・シリーズの真鍋博など、子供のころはどうしても違和感を覚えていたのですが、今ではキャスティングの妙だと思えます。
ふり返ってみると、贅沢な時代だったのだと思います。