この頃はまだフュージョンという言葉はなくジャズロックやクロスオーバーなどと呼ばれていたものだ。この作品はギターがビルコナーズから若干20歳のアルディメオラに代わった最初の作品で「ノーミステリー」や「浪漫の騎士」には及ばないもののなかなかの佳作である。第2期RTFは先進的なジャズミュージシャン、及びロックミュージシャンに大きな影響を与えていてマハビシュヌやウエザー以上に時代を変革したバンドでありジェフベックもRTFやスタンリークラークを聴いてインスト路線へ走ったと語っていた。この作品はチックコリアというよりはスタンリークラークが主体のようで(RTFという名称自体2人の共有名義である)スタンのソロ1作目はこの作品と非常によく似ている。ただファンク色が濃い分、曲自体の魅力に欠けておりメロディーが印象的なのは「ファラオキング」ぐらいで他はノリ一発といった感じ。それだけにリズム隊の出来はよくレニーホワイトのグルーブ感は素晴らしい。(レニーホワイトの評価は世間ではあまり高くないが私はとても好きなドラマーの一人である。)それにスタンリークラーク! ベースソロでは周りが静かにするという常識(?)を打ち破り、バリバリ弾きまくって他のフロント楽器以上に観客を盛り上げた最初のベーシストであり、彼とジャコが現在のエレクトリックベースの高い技術レベルを築く基になったことはいうまでもない。チックコリアについてはシンセの音色がいまいちで(ムーグのVCFを開きすぎ?)ソロフレーズについてもチックとしては平均以下の出来。ディメオラについてもこの時期はまだ発展途上といった感じ。とにかくリズム隊を聴くアルバムである