秋子(高峰秀子)と春子(笠置シズ子)は、それぞれ画家、声楽家になることを夢見て、
隠居した落語家、新笑(古今亭志ん生)の家に居候している身。何とか、働き口を見
つけて、新笑一家を楽にさせたい思いはあるものの、現実はなかなか上手く行かな
い。そんなある日、映画のエキストラの仕事で、秋子と春子は、銀座で歌の流しを
している白井(岸井明)と知り合い、彼の勧めで、銀座に出るようになるが…。
服部良一の大ヒット歌謡曲「銀座カンカン娘」をモチーフに、監督に島耕二、製作
に青柳信雄、脚本に山本嘉次郎、キャメラに三村明…と豪華ベテラン・スタッフで
固めた歌謡(ミュージカルとまでは呼べないだろう)映画。
そういったベテラン・スタッフにもかかわらず、作品自体は、どこかリズムに欠け、
話運びにも、随分と穴がある印象が拭えない。しかし、まん丸メガネをかけた健康
そうな丸顔の高峰秀子とたれ目の笠置シズ子が、快活に「銀座カンカン娘」を歌う
のを観たら、欠点など、もうどうでもよくなってしまう。敗戦から4年という時期の、前
向きで、のびやかな解放感溢れる日本の空気が伝わってくる作品である。不思議
な多幸感に浸れること請け合いだ。
落語好きには、古今亭志ん生の残存している数少ない映像作品としても有名だろう。
彼が、「疝気の虫」の一部を演じている姿を収めているという点で、この作品は重要
なドキュメントの役割も果たしている。
本DVDは、かつて他社から5000円強で発売されていたものの権利が切れ、別会社
から廉価で再発売されたもの。マスターは、前のものと同一のようで(新東宝=国際
放映)、画質、音質ともに、レストアはされておらず、ヴィデオ並。ただし、鑑賞には全
く問題ない。何より、1500円強で、この作品が手に入れられるならば、文句は言えま
い。