大企業のキャリアウーマンだった方が名門画廊一族に嫁ぎ、絵画、画廊ビジネス、業界慣行といったものを、分かりやすく説明した本。
自らが最初は門外漢だったという強みを生かして、あまり知られていないこの業界のことを、分かり易く親切に解説している。
著者はもともと、かなり恵まれたエリート女性で、有能な夫と富裕層相手の銀座の画廊経営という優雅な商売をしているわけだが、そうしたことがそれほど嫌味に見えないのは、「(地方名家出身の)両親が頼りないから自分はしっかりした」「最初は、絵を売ろうとして頑張りすぎて失敗した」など、自分自身を客観的に描写する能力に長けているからだろう。自らと違うキャラである夫=社長の描写の仕方にも好感が持てる。
「豊かな客には豊かな気分で接しないといけない」「富裕層は金銭以外の面でもっと豊かになりたいと思っているのだから、貧しい雰囲気があってはいけない」などの言葉は、商売をする者には参考になる。
後半「21世紀は文化の戦争の時代」「日本人はお人よし過ぎる」の部分、あるいは「海外に出ると中国が世界の中心となっているのを実感」の部分は、とても興味深いだけに掘り下げ不足に感じた。この部分を掘り下げた次作を読んでみたい。