プロ農家出身の荒川先生だからこそ描ける漫画です。ありがちな「〜系青春漫画」とは訳が違います。
農業というのは理不尽な事が多い職業です。生き物を相手にしているから収入にせよ品質にせよ一定にはならなず、常に不安定なんですよ。
生き物に裏切られることもある、天候に裏切られることもある、そして何より消費者という人間に裏切られることもあります。
心を込めて育てた野菜や家畜も、病気だの放射能だのと騒ぎ立てられ捨てられるのを見ると何となく分かるかもしれません。
消費者は「食の安全」と叫べば許されるから気楽なものだが、生産者はそうはいかないのです。
どんなに努力しても、それが絶対的に報われるとは限らない、そういった”理不尽”とたえず向き合っていかなければいけないのが農業。
本作の主人公・八軒も努力が報われなかった類の人間です。そのためか農業の現実に過剰に共感してしまうこともあります。
「報われない努力」の”理不尽さ”、これをしっかりと描いている荒川先生には感心せざるを得ませんねぇ・・・。
「努力は報われる」ことが前提の少年漫画の中ではある意味異質であるとも言えましょう。
そしてこの作品はそんな”理不尽”を明るく笑い飛ばす豪快さと、生き物と向き合う事でしか得られない大切なものをしっかりと示しています。
楽しいことも辛いことも、全て飲み込んだ上で理不尽と向き合う・・・一読ながら、この作品にはそういったテーマも含まれているように感じられました。
続きが早く読みたいものです。