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銀のほのおの国 (福音館文庫 物語)
 
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銀のほのおの国 (福音館文庫 物語) [文庫]

神沢 利子 , 堀内 誠一
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 788 通常配送無料 詳細
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

壁に飾られた剥製のトナカイはやてがよみがえり、たかしとゆうこの兄妹は、壁の向こうに広がる異郷にひきずりこまれます。ふたりははやてを追って、荒野のただなかを青イヌの影におびえながら、不安と緊張に満ちた旅に踏みだします。盲目のウサギ銀の耳が歌い伝える、いにしえの楽園、銀のほのおの国とは? この北の荒野に住む小さな動物たちすべてが待ちのぞむトナカイ王国とは? 青イヌの首領、夜風に囚われたゆうこの身を案じつつ、はやてのいるはるか北の山脈めざして困難な旅をつづけるたかしは、子ウサギはね坊主や、裏切り者の巨人皮はぎたちに出会うことで、生きること、食い食われることへの問いを深めていきました。そしていよいよ、銀のほのおの国のよみがえりをかけて、トナカイ軍と青イヌ軍が最後の戦いのときをむかえます……。 『銀のほのおの国』は、1972年に出版されましたが、初版発行の年から25年を経て、字句の訂正、文脈を整えるための手を入れ、改訂版を出すことになりました。神沢利子の代表作として長年子どもたちに読み継がれてきたこの物語は、日本の長編ファンタジーの豊かな実りのひとつとして、今も輝いています。

自分で読むなら:小学中学年から --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

剥製のトナカイのガラスのひとみに炎がゆれて、たかしとゆうこの冒険がはじまった。人はなぜ、他の生きものの命を奪わなければ生きられないのだろう。重たい問いを抱きながらふたりは、いにしえのトナカイ王国復興をめざし、動物たちの国の壮絶な戦いにたちあう。日本で生まれた本格ファンタジーの傑作。小学校中級以上。

登録情報

  • 文庫: 379ページ
  • 出版社: 福音館書店 (2003/10/15)
  • ISBN-10: 483400645X
  • ISBN-13: 978-4834006452
  • 発売日: 2003/10/15
  • 商品の寸法: 17 x 12.4 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
レヴュータイトルを書いて「おや、『もののけ姫』に似てる」と今更、思いました。
しかし、この話に於いて、青イヌ(狼)は己の欲望を肯定し、自然をすべて支配下におこうとひた走る種族。
トナカイは秩序のとれた生態系という平和を維持するために戦いを選んだ種族。
そして主人公たる少年と少女は、別世界(東京)から迷い込んだ小学生の兄妹にすぎません。

兄、『たかし』がトナカイの頭の剥製に戯れに復活の呪文を唱えたその時が、太古の昔、陰謀と裏切りによって討たれたトナカイの王『はやて』の心臓の骨に三億たびの月の光が注ぐ瞬間――約束された復活の時でした。
二人は復活に巻き込まれる形で異世界へ。そして、自分達の世界へ帰るために、駈け去った『はやて』を追っていやおうなく旅をします。
次々に巡り会っては別れる動物達。彼らは一様に兄妹を、預言された『来るべき二本足の子』と呼びました……。

粗筋だけを書くと、可愛くて気の良いキャラクターものの動物達に囲まれて、選ばれた子供達が珍道中を繰り広げる冒険物に思えるかもしれません。「異世界に転位すると、君はすべての人が待ち望んでいた救世主」という造りは珍しくもないでしょう。

しかし、この話は、苛酷です。

動物達は決してヌイグルミではなく、生きるために食い、強いものにほふられるリアルな生き物として、いや、単に人間とは別の種族というだけの――たとえば宮沢賢治の小説に出てくる動物のような――この国の住民として描かれています。生活感があり、土着的です。

原罪と弱肉強食の食牡連鎖。生態系のバランス。それが仮借無い現実として、主人公達に突き付けらます。
生き伸びるために殺すのは許されるか――という問いに簡単な答えなどあろうはずなく、この物語はありがちな妥協点を最後まで示しません。兄『たかし』は妹の信頼を失い、妹『ゆうこ』は青イヌの手に落ちます。
単なる巻き添えでこの世界につれてこられたと思っていた兄と妹は、勝利を約束する『来るべき二本足の子』として、トナカイと青イヌの両陣営の象徴となり、惨たらしい全面戦争の渦中に巻き込まれるのです。
何をなすべきで、誰を信ずるべきか、飽くまで自分自身の判断に任されます。

もちろん理想像として描かれるトナカイの王『はやて』は、雄々しく美しいです。
しかし、作者は自然に対する征服者たらんとする青イヌの王『夜風』もまた、ある種の信念を持った美しい存在として描きます。
必ずしも悪でなく、必ずしも善でない多くのキャラクター達は、そのどちらをもそれぞれの割合いで持っている、地に足を着けた、それぞれに愛おしい存在として。

「何が味方で何が敵なのか、何がほんとうで何がうそなのか、見分けることはむずかしくとも、ぼくは、きっと、信じるものを選びとるよ……」
『たかし』が『はやて』に、心で話し掛けるラストシーン。そう簡単明瞭に善悪が示される程、世界は単純ではないのだから、『ぼく』が、考え抜いて、選ぶことこそが大事なのだと、『たかし』は学んだのだと思うのです。

このレビューは参考になりましたか?
By babel トップ1000レビュアー
形式:文庫
トナカイと青イヌとの戦いを通じて、生きる事、自然とのかかわり、善悪の曖昧さといった
骨太の問いを投げかけるこの小説は、児童文学の域を超えた日本ファンタジーの傑作といえると思います。

自然の中ではこの小説で描かれるように、常に過酷な生存競争が繰り広げられています。そしてそこに
善悪というものは無く、それを超えた秩序によって保たれています。

その中で唯一人間だけがそうした過酷さから離れたところにいる現実に対して、架空の世界に送り込まれた
兄妹は残酷な世界を目の当たりにします。弱き者は簡単に屠られ、他者の血肉となっていく厳しい世界を。

そして戦いの後も、作品の最後もこの小説は答えを出しません。主人公の言葉のとおり、自ら考え判断することを促します。
そこがこの作品の奥行をさらに増しているといえるでしょう。

加えて、平易で余計な飾りの無い文章がシンプルに力強く心に訴えかけてきます。

世代を超えて読みつなぎたい作品と言えるでしょう。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 日本では、本格的なファンタジイ文学は稀有な存在です。それは一部の貴重な例外を残しながら、事実と言わざるを得ません。
 確かに、妖精文学や神話、また中世の文学の伝統から直接に間接に豊穣な果実をを受けとることで成立した欧米のファンタジイと、日本のそれとを比較するのは、いかにも分が悪いし、何はともあれ、金髪碧眼の主人公たちがヨーロッパ中世に擬似した異世界を舞台に、何の必然性も無く、冒険の旅をしなければいけないという固定観念に縛られている限り、日本のファンタジイ文学は未熟なままなのかもしれません。とても寂しいことです。
 さて、「銀のほのおの国」は、日本のファンタジイ文学として、珍しく、本格的で骨太な作品です。その意味で、まことに貴重な例外と言えます。一読をお奨めします。
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