鉄道の将来は厳しい。少子高齢社会で絶対的な需要が減少するなか、高速道路網とLCC(ロー・コスト・キャリア)という二つのライバルとの競合は激しくなる。
著者はあとがきで「これからも鉄道が人々の支えとなり、鉄道とともに歩む人生が豊かなものであり続けられるよう」協力したいと述べる、鉄道ジャーナリスト。しかし、その視線は冷静で議論は透徹。「変革を後回しにしてきた」日本の鉄道の現状と近い将来(二〇二〇年代)の予測図を、豊富なデータ、図表を使ってロジカルに読者に提供します。
日本の鉄道を、著者は四つに分類してみせます。新幹線、大都市の鉄道、幹線(東海道線や東北線など)そして地方交通線。最後の地方交通線の現状はデータをみると溜息しか出ず、また本書でも「地方交通線の未来」という章だけが設けられていない。これは言外に、多くの地方鉄道の未来はない、ということでしょうか。
鉄道の最大の特徴とは大量輸送である、と著者は断定します。現状、都市の通勤輸送と大都市間を結ぶ新幹線に利用者のほとんどが集中している、とされます。
そして高速道路網の整備が進み、LCCによって航空機の運賃が値下げされる将来、幹線と通勤輸送が高速道と競合し、新幹線は莫大な施設費(たとえば、著者は東海道新幹線の耐用年数や整備新幹線の建設・維持費をあげます)を抱えながら高速道と航空機との競争を強いられることから、鉄道会社(JR各社、大手私鉄)の大胆な再編もあり得る、とします。……JR中国・四国なんて魅力的ですね。
著者はリニア新幹線にも、巨大な建設費(というか、もはやエネルギー)に見合う需要が将来の我が国にあるのか、疑問を呈しています。
鉄道の将来を憂うマニア、必読の一冊。