おそらく、表紙に惹かれて購入を考えた方も少なくないかと思います。
自分もその口で、正確に言えば、とても意味深な表紙に感じたからなのです。
なぜ表紙の少年は、その外見には似合わない、
赤くハイヒールのような形の靴を持っているのか?
この作品の主人公・鉄宇は、夢を失ってしまった少年です。
一見見ればある事件が直接的な原因ではありますが、
おそらく鉄宇はそれに関係なく、その道では自分はやっていけないと、
進んでいた道を自ら閉ざしていただろうということが嫌でも想像できます。
それは誰もが痛感したことのある「自分には向いていなかった」、
そして、そんな言い訳なんかじゃ止めることが出来ないほどに溢れ出てくる悔しさ。
他人の持つ才能が、自分の費やした時間を超越していることを知ったとき、
本当の意味でのコンプレックスを覚える。
私は、ふと思うときがあります。
夢は1つだけじゃないと駄目なのだろうか、と。
…そんなことはないはず。
何か夢を一つ諦めたとき、それは自分を見直せる一番良い機会だと私は思っています。
そして、案外近くに新しい夢が転がっていたりします。
それは趣味の一つにあるかもしれません。
それは友人の何気ない言葉の中にあるかもしれません。
もしかしたら、家族の誰かが答えを持っているのかもしれません。
きっと、叶えられる夢にいきなり出会える人などホンの一握り。
人は、年をとるごとに色んなものと出会い、
自分でも本当に手が届きそうな夢たちと出会い、
それらを原動力に成長を続けていくのだと思います。
この作品は、誰が読んでも
良くも悪くも必ず何か感じざるを得ない作品のように思います。
赤い靴を履く鉄宇を、かつての自分と重ねながら、
今後も見守っていきたいと私は思います。