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43 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
悪童漫画の奥底にあるメッセージ,
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レビュー対象商品: 鉄コン筋クリート (3) (Big spirits comics special) (コミック)
3巻に来てやっと、松本大洋がこの漫画で何をやりたかったのかが私にはわかった。1&2巻を読んだときは単に、クロとシロの絆を描きたいのだと思っていた。しかしそれだけではなかったのだ。計算され尽くされた伏線は、3巻で効果的かつ印象的に説明されているし、主人公たちがなぜクロとシロという相反した名前なのかも理解できる。 率直に言うと、1&2巻でこのふたりに愛着を感じてしまった人は読むのがかなりつらい。痛い。シロが泣いているシーンでは「こっちが泣きたいぜ、なんでこんな展開に?!」と思ってしまう。 ところで、「鉄コン筋クリート」は町の孤独を描いた漫画だと私は思う。町は生活の鏡だ。つまり、クロとシロは現代のあらゆる陰と陽を象徴する存在として、町は現代そのものとして登場する。そこには暴力があふれ、救いなどないように見える。この魅力的なタイトルも、そんな町のカオスが良くあらわされていると思う。 私たちに必要なことは、闇を断ち切ることなのか?否、違う。そんなことはできない。この本は完結したところで読者にこう語りかけてくる気がする。闇に引き込まれてはいけない。闇がすぐ背後にある状況で、私たち一体何をしたらいいというんだ、と。
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
読んで良かった,
By あき - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 鉄コン筋クリート (3) (Big spirits comics special) (コミック)
実は私は最初は松本大洋先生の絵があまり得意ではありませんでした。しかし、1巻2巻と読み進めるうちに、その世界に引き込まれ、3巻を読み終えた頃にはすっかり松本大洋ワールドにハマっていました。 平べったい紙から、登場人物の感情はもちろん、宝町や人物がまとっている空気や、きいているであろう音までもが伝わってきて、その感覚が何度読んでも消えないのです。 話もセリフも間の取り方もすべてが私の求めていたもので、2巻終わりから3巻ラストまでを思い出すたび泣きそうになる私がいます。 なぜ泣きそうになるのか…。その原因はクロの寂しさか、シロの強さか。はたまたまわりの人間の気高さ・人間味、大人の身勝手さ…どれなのかはわかりませんが、でもきっと、すべてがそうなのかもしれません。 今となってはありふれた話・テーマなのかもしれませんが、10年前にはきっとまだ新鮮な方だったのではと思います。でも今でもまったく色褪せていない、本当に魅力的な漫画です。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
シロとクロ、突き抜けて青い空と海。,
By ジーナフウガ "ジーナフウガ" (福岡県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 鉄コン筋クリート (3) (Big spirits comics special) (コミック)
松本大洋の画く世界は美しい。それはもう圧倒的に。
詩であり、文学や哲学であり、人間のありとあらゆる要素が詰まっている。 シロとクロの【ネコ】と呼ばれてる2人の子どもは空を飛ぶ。彼らの視線の下には宝町。 そこではヤクザのネズミや木村、それを追いかける警察の藤村や沢田、 そして町を乗っ取ろうと何処からかやって来た蛇、それぞれの思惑が蠢いている。 呼吸する街の、あちらこちら。余白に書きつけられたラクガキが、 この宝町に生きる言葉足らずな人達の呟きのような残響の効果を出している。 この、口にされる事のなかった声を聞き取り、街に漂う気配を見抜き、 画く事が出来る松本大洋は本当に凄い作家だと思う。 更に、傍目には時の流れに逆らい成長する事を拒否したかのようなシロ (まるで映画ブリキの太鼓のように)が時計を両腕に巻き付けたりしているのも印象的だった。 24時間の記録時間ではなく、自分用の記憶時間とでも呼べるもので暮らし、 性急に変わり続ける街の事情から相棒クロを守ってたんだなぁ、と。 最後、底抜けに明るい笑顔の2人が、こっちを見ている。カッコいい! なんにでも白黒つけて、単純に二分するんじゃなくて、 シロもクロも花も鳥も魚も、この空と海の青の中に生きている。愛ある世界に。
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