何といっても本書の見所は“旧版(早川版)の焼き直しではない”ことでしょう。つまり“未訳もしくは単行本未収録だった、キャプテン・フューチャーの全短編がまとめられている”のです! まさしくファン垂涎の書と言えるでしょう。私なぞは<キャプテン・フューチャー全集>1の巻末にあった刊行予定を見て以来、2年半の間心待ちにしておりました。なかなか出ないので心配していましたが、遂に刊行され、感無量です。肝心の内容においても、期待を裏切らない本でした。
内容:
50年代に書かれた七つの短編……「キャプテン・フューチャーの帰還」、「太陽の子供たち」、「衛星タイタンの<歌い鳥>」、「鉄の神経お許しを」、「忘れじの月」、「もう地球人では……」、「<物質生成の場>の秘密」……がページ数の約6割を占めています。基本的に“暗いハミルトン”の作品です(もちろん「鉄の神経」を除く)が、長編とは違う趣きで楽しめます。
残り約4割のページが、主要キャラクターに焦点を当てた“掌編サイドストーリー”17本に割かれています。シリーズ本編では(間接的にしか)描かれなかった“グラッグ、オットー創造の経緯”、“サイモンが脳みそになった経緯”、“イイク、オーグがペットになった経緯”、“カーティス・ニュートンがC・Fとしてデビューした経緯”……などが詳細に語られます。
(追記)
巻末の一割弱を占める、伊藤民雄なる方(野田大元帥のお弟子さんか何かでしょうか?)による「解説」および「エドモンド・ハミルトン著作リスト」も労作です。特に後者は未訳/既訳、短編/長編を問わない全作品のリストでして、書誌学的に極めて貴重ですね。