些細な日常の中にも、とてもいい音楽が流れているのだな、と再発見させられました。おそらくこれは、著者である松澤健さん自身の並々ならぬ「音」それ自体に対する強烈な興味から実現した楽譜なのでしょう。絶対音感を持つ人は世の中に沢山いても、それを行動に移した点が素晴らしいと思いました。とてもよい楽譜集だと思います。そりゃ、人によっては発車メロディを楽譜化したから何なんだ、という人もいるかもしれません。でも大事なのはそういうことではなく、松澤さん自身が「あとがき」で書いていますが、「肩の力を抜いて楽器本来の楽しさを味わう」ということだと思います。こうしたメロディがきちんと楽譜化され、それを聞く、弾くことによって新たな人がもっと音楽をやってみよう、始めてみよう、と音楽を始めるきっかけをつかむことに大変な意義があると思います。また僕が勉強になったのは、あの発車メロディの一つ一つにも当たり前のように作曲者がいて、それらの人々がとてもいい仕事をしているのに、今までそれがあまり認知されてこなかった、という事実を松澤健さんの楽譜で知ったことです。JRの発車メロディは電車に乗った事のある人なら誰もが親しんでいるメロディです。この楽譜で演奏を体験すると、たちまちもっと音楽をやってみたい、と思ってしまうから不思議です。