広く知られている、この人と作品、今更紹介することはないでしょう。初版以来20年を経た今頃になって、私は初めてレビューを書かせてもらうことになりました。
買ってあったこの本「鈴の鳴る道」…この度改めて注目させられたのです。それはなぜ 「鈴」なのかということです。それは普通の健康体の人の接する鈴ではなかったのです。車椅子の身の上にとって、でこぼこ道は苦の種だったのに、ある時その車椅子につけていた鈴が「チリーン」と鳴ったのを聞いて富弘さんは感動したのです。なるべく避けていたでこぼこ道で鈴が鳴ってくれることを発見したのです。
「人も皆、この鈴のようなものを、心の中に授かっているのではないだろうか」と気づくのです。平らな道を歩いていたのでは鳴ることがない、人生のでこぼこ道にさしかかった時、揺れて鳴る鈴なのです。
なるほど、なるほど、とうなずきながら、本書題名の拠って来たるところに共鳴させられたしだいです。一点、一点、魂をこめて、そして何より不自由な身の上で描かれた花の絵、詩文に「澄みきった魂の音色」を感じたのです。ただ美しいという皮相的なとらえ方ではなく、この人の魂の清冽の音色に耳を澄ませて聴き入ることが大切だと深く感じ入った次第です。