真木よう子演じる編集者が失踪した作家凸川(浅野忠信)を探しに地方都市に迷い込み、
謎を明らかにしていく物語です。
冒頭にいきなり出てくる芝田山親方(随所でいい味をだしてる)にまず惹き付けられます。
ホストクラブをやっている凸川の旧友の北村一輝(額に肉という字がきざまれている)、
その愛人南野陽子(『スケバン刑事』以来の好演)、
警官ユースケ・サンタマリア(髪が長い!)やジェロ(変なバイトばかりしている)など個性的な人びとが面白い。
キッチュな感じの建物や服装もいい(ものすごく凝っている)。
そこがまず見所です(特にホストクラブの内装)。
少年時代のシーンはアニメになっているのですが、
これがまた、良くできている(少年時代の秘密が明かされる)。
三人には世間に知られていない秘密があります。
その秘密をばらされたくない北村とユースケは凸川を殺そうとして、
様々な手段(殺鼠剤やとりかぶとなどの毒、車で轢く等)を使いますが、果たせません。
彼は不死身なのです。
彼ら三人の関係は凸川が文学賞をもらったために起きた妬みも加わり、ごちゃごちゃしていきますが、
事実や凸川の謎は徐々に解けていきます。
でも、最終的に全ての謎が明らかになるわけではありません。
あくまで「不条理」なので、ミステリーが好きな人には不満が残るかもしれません。
そこで評価が分れるのかもしれません。
いつものクドカン作品にある「笑い」は沢山ありますが、登場人物が不意に見せる「熱さ」はないので、
その辺が好きな人には物足りないかもしれません(『未来講師めぐる』等が好きな人は楽しめます)。
北村が上半身ヒップホップ、下半身はまわし姿で四股を踏み、心情を吐露するシーンは映画史に残りそうなほどバカです(必見!)。
真木よう子の鼻血もいいです。
そんなシュールな世界をあきさせずに観せる演出力、脚本は見事としか言えません。
この作品から私が読み取ったのは、
人間の世界は不条理にみちているが、
その不条理を避けて生きる方法はなく、
ただ不条理を受け入れていくしかないのだ、
というクドカンの諦観にも似た魅力的な世界観でした。
繰り返して観ると、凄さがより解かる作品です。