経絡経穴・陰陽五行に乗っ取り、因果関係から治療穴をやその組み合わせを決めてゆくのは確かに鍼の醍醐味ではあるが、あまりに複雑で決めかねるときもある。
この本では一症状につき、一穴。実にシンプルである。
症状によっては数穴紹介されているが、使うのは基本的に一穴である。
経験穴も多く、陰陽五行では今ひとつ説明のつかない場合もあるが、とにかく効く穴も多い。
あまり複雑なドグマに捕らわれず、対処療法的に薬を飲む代わりに「薬を飲むよりはいい」という感覚で使える本である。
今の鍼灸界は西洋医学に対抗しようとするあまり、対処療法的な使用をバカにする傾向があるが、鍼は必ずしも神秘的である必要はない。
根本治療が出来なければ鍼治療と言えないわけでもないと思う。
昔の民間レベルでは本書のような対処療法的な鍼も多く行われていたはずだ。
自分で鍼の打てる人は参考に持っていると何かと役に立つことが有ると思う。