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針の眼 (創元推理文庫)
 
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針の眼 (創元推理文庫) [文庫]

ケン フォレット , Ken Follett , 戸田 裕之
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

上陸地点はカレーかノルマンディか。英国内で活動していたドイツの情報将校ヘンリーは、連合軍のヨーロッパ進攻に関する重大機密を入手、直接アドルフ・ヒトラーに報告するため祖国を目指す。英国陸軍情報部の追跡を振り切り、U=ボートの待つ嵐の海へ船を出したが…。第二次大戦下、史上最大の上陸作戦を成功に導いた、知られざる「英雄」の物語。MWA最優秀長編賞受賞作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

戸田 裕之
1954年島根県生まれ。早稲田大学卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 488ページ
  • 出版社: 東京創元社 (2009/02)
  • ISBN-10: 448812903X
  • ISBN-13: 978-4488129033
  • 発売日: 2009/02
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
本書は、アメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」の’79年度ベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)受賞作であり、日本では’80年、当時国内と海外両方併せてベスト10を選んでいた「週刊文春ミステリーベスト10」の第6位にランクインしており、オールタイム・ベストにも名を連ねる冒険スパイ小説である。

第二次世界大戦も終盤、ヒトラーの信任厚い英国潜伏中のスパイ、コードネーム≪針≫ことヘンリー・フェイバーは、連合軍の欧州進攻に関する極秘情報を入手した。彼はドイツへ自らそれを持ち帰ろうとする。前半はフェイバーが、袖に隠した錐のような小型の短剣、スティレットを必殺武器に、冷徹なプロ意識と酷薄さで英国情報部の追跡をかいくぐるスリリングな脱出行が展開される。

後半に入ると、嵐のためUボートと接触できず、北海の小島に流れ着いたフェイバーを助けたそこで暮らすローズ一家、とりわけ妻のルーシイが主役となる。彼女は新婚旅行中の事故で両足を失った夫と幼い息子と住んでいるのだが、鬱屈した日々を送っていた。フェイバーとルーシイは道ならぬ関係に陥るのだが、最後に手に汗握る対決をすることになる。

緊迫感あふれる防諜戦と活劇、ルーシイの視点で綴られる、絶海の孤島で静かに崩壊してゆく夫婦関係の微妙な心理の綾。この両者が巧みにあいまって、嵐の夜のクライマックスへとなだれ込んでゆく。本書を単なる冒険スパイ・アクション小説を超えた名作にしているケン・フォレットのうまいところである。

本書は、歴史の“if ”を、見事なエンターテインメントとして昇華させた傑作である。
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形式:文庫
超が付くプロフェッショナルなドイツのスパイと、そのスパイが特A級の情報を本国に持ち帰るのを阻止すべく後を追うイギリス人達の話。スパイものの小説はあまり読んだ覚えが無いのですが、さくさく読めました。

創元文庫は文字が小さくてびっちりとページが文字に埋め尽くされてるので、読むのに時間がかかるイメージですが(それが本を読んだ満足感を与えてくれて好きなのですが)、訳が読みやすく、話のテンポも良いからさくさく読めるのだと思う。

史実と、歴史上の空想物語を上手く絡めてまとめ上げた良作だと思います。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By jue
形式:文庫
「大聖堂」のケン・フォレットのスパイ小説。
MWA最優秀長編賞受賞作で こっちのほうが「大聖堂」よりだいぶ前の作品だから、逆の紹介のほうが正しいのかもしれない。

こちらは第二次世界大戦末 ノルマンディー上陸作戦を巡るドイツスパイとMI5の攻防戦を描いた作品。史実をもとにしたフィクションという点では大聖堂と同じだが、こっちのほうが「史実をもとにした」部分が大きい。多視点で書かれていて「主人公」「主人公格」の人物が複数いるのも同じだが、とりあえず「主人公」と思われるドイツスパイ「針」には、かなり近いモデルがいるらしい。

この 「針」 が魅力的だ。
凄腕スパイだから当然でもあるのだが、ほんっとうに冷酷無比。「おれの顔なんか見るからだ」と次から次へとあっさりとヒトを殺していく。スパイらしく目立たない冴えない格好をしているにもかかわらず、女にはもてる。
対する MI5側に冒頭でリクルートされるのが、中世の大聖堂を研究している歴史の先生、ゴドリマン教授。ここで、「大聖堂」から入った私はついニヤリとしてしまう。

ヒトラーから絶大なる信頼を得ている「針」の任務は、連合軍の上陸地点が カレーかノルマンディかを探ること。連合軍側はドイツスパイの大半を二重スパイとして取り込み、おおがかりな情報攪乱作戦に出ているのだが、ヒトラーだけは直感的にそれがニセ情報だと感じている。その証拠を「針」が掴んでくれさえすれば、「正しい」地点に友軍をむけ連合軍を撃破できる。
現代に生きる読者は、結末を知っている。ナチスは負ける。D-デイは成功し、連合軍が勝利する。「針」の失敗は読者には最初からわかっているのだ。

後書きに、ケン・フォレットは後日 ハーレクインスパイ小説 と揶揄されるほどロマンスを書くとあった。「大聖堂」のロマンスシーン、ことに赤毛のジャックがお姫さまを口説くシーンは個人的にツボ直撃だったが、こちらはもっと即物的と言ってもいい。手練れのスパイらしくうぶな女を性的に篭絡していくくだり、なかなかに官能的だし、確かにねちっこくもある。だが、なるべくしてこうなったと思わせるところが、やっぱりスゴイところだろう。詳細を書くのは控えるが、クライマックスは興奮する。性的に ではない。そのあとだ。甘い官能シーンのあとだけに、気が高ぶる。これはやはり ラストバトルと呼ぶべきだろう。まさに決死の戦いなのだから。

「針」が勝つことは在り得ない。情報を無事ヒトラーに届けることは在り得ない。そう判っていてすら、手に汗握る。舞台装置も満点。

迷うことなく星五つ。
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