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最も参考になったカスタマーレビュー
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
本物のスポーツノンフィクション,
By ギネス党 "ハートランド" (埼玉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 釜石ラグビーの挑戦 (単行本)
本書には「スター」がまったく登場しない。その点では、まったく「異色な」スポーツノンフィクションである。しかし、イチローや中村俊輔に群がる“スポーツライター”は数多くいても、この本の著者のように地道に現場へと足を運び、名もないプレイヤーながらひたむきにラグビーを続ける若者たちに丹念に話を聞いて、結果として「企業スポーツと地域密着型のスポーツクラブ」という日本のスポーツ界に古くからあって、しかし実態は知られていない現実を見事に描き出すような仕事ができる、本物のスポーツライターはいったい何人いるのだろう? 新日鐵という企業を離れて地域密着型クラブとしてスタートを切った釜石シーウェイブスの理念に共鳴して、釜石にやってきた若者たちは、そこでラグビーを続けるそれぞれの事情を抱えている。しかし、彼らに用意されている仕事ときたら、清掃員であったりカーディーラーであったり幼稚園の教諭であったりと、およそ日本のトップアスリートたちが経験しないような仕事ばかり。それもまた地域密着を形作る一つの地道な活動であることは本書で丁寧に解き明かされていくが、果たしてスポーツ選手とこういう仕事を結びつけて考えられる“スポーツファン”が何人いるだろう? けれども、本書でも描かれているように世界では案外それが当たり前のスポーツライフなのである。 地を這うように丹念にエピソードを集めていく著者の姿勢は、熱さを押さえ込んだ淡々とした筆致で、これらのエピソードを、ありのままに書く。「だから日本のスポーツは……」といった論に走らない姿勢は、一つひとつのエピソードを、珠玉の短編小説のように描き出して素晴らしい。 スターに張り付いてコメントを拾うのが「スポーツノンフィクション」では断じてない。テレビなら「数字が取れない」と言われるような素材から、深くて核心的な問題をえぐり出すのが、本物のスポーツノンフィクションなのだ、と改めて教えられた。すべての人に必読です。
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