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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
情趣ある作品,
By naonao-703 (京都市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 金魚生活 (単行本)
時が滲む朝で芥川賞を受賞した中国人作家楊逸著の作品に初めて手を出した。
読み終わった一番の感想は<情趣がる>面白い本だった驚きだった。 日本に住む娘の出産の為に中国から日本に来る玉玲を描いたこの本、中国人の文化を残しながら揺れる女心が主体で情趣があるのだ。 中国で美しさ故に夫亡き後も男たちが途絶えないし、皆に秘密にしている同棲相手もいる。 その同棲相手周彬に対し今ひとつ心が定まらず、周囲にその関係をひた隠しにして、自分の仕事である金魚の世話をする毎日。 小さな世界で生きてきた主人公玉玲と、水槽に漂う金魚が重なっていく物語の美しさ。 娘のいる日本に来ても、文化の違いと物価の違いで溶け込むことが出来ないまま、娘が考えた日本人男性との見合いを始めてしまう。 水槽に漂う金魚と玉玲が連なり、そのまま揺れる女心に姿を変えていくこの本、終わり方もある暗示で終わってゆくので作品に膨らみが生まれている。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
最後の漢詩が圧巻,
By iccinc "iccinc" (東京都港区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 金魚生活 (単行本)
最後の見合いでの李白の詩を中心としたくだりは圧巻。著者はこの最後のためにこの小説を書いた気がする。
中、日の双方の漢字文化に通じた人でないと書けない下りである。 大学、高校の漢詩の授業で活用できそう。芥川賞の「時が滲む朝」にも漢詩が出てくるが、本書の最後の部分が最も印象的。
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
人それぞれに幸せの形は違うという事を教えてくれる味わい深い人生の物語です。,
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レビュー対象商品: 金魚生活 (単行本)
前作「時の滲む朝」で中国人女性として初めて芥川賞を受賞した期待の新鋭楊逸が放つ待望の小説第3弾です。初めに著者は前作で男性を主人公に配して新生面を打ち出しましたが、本作では処女作「ワンちゃん」と同じ女性主人公の世界に戻って来てくれて、やはり作者の本質は同性を描いた物語にあると感じました。中国人から見た日本の姿を描くという基本姿勢は本書でも変わらず、前半は中国での半生を語り後半で日本に舞台を移すという構成は前作を踏襲しています。本書の主人公、林玉玲(リンユイリン)はワンちゃんとはまた違ったタイプで、美人ですが派手ではなく決して人に逆らわず万事控え目に振舞う不器用な人生を歩んで来ました。中国東北部のレストランに勤める玉玲は8年前に夫を事故で失ったが生来の美貌が幸いして生き残り、店長から金魚の世話係を任され安定した暮らしを送っていた。夫の死後一年が過ぎて、昔からの親友で女房に逃げられた惨めな中年男の周彬(ジョウピン)が玉玲の一人暮らしの家に転がり込んで来て同棲し始める。ある日、日本に嫁いだ娘の出産を手伝う為に来日した玉玲は富裕な国日本の姿に接して大きな驚きを受ける。本書で重要な役割を果たす金魚は中国語で「ジンユ」と呼ばれ金余(金が余る)と同じ発音から、福をもたらす大変に縁起が良い生き物とされています。玉玲は一人暮らしの孤独を長年飼って来た金魚の「大宝(ダーパオ)」に癒され生きて来ました。贅沢ではないけれど不満もなく安定した日常に慣れた玉玲の心が、後半日本の物が溢れる豊かな社会に触れて揺らぎ始めます。やがて迎えるラストは私達日本人にとって相当に意外で少し残念な物ですが、私は心の目を開かされ人それぞれに幸せの形は違うという事を改めて教わった思いで心が深い感動に満たされました。著者には今後もこのまま年2作のゆったりとしたペースで味わい深い人生の物語を書き続けて頂きたいと思います。
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