時が滲む朝で芥川賞を受賞した中国人作家楊逸著の作品に初めて手を出した。
読み終わった一番の感想は<情趣がる>面白い本だった驚きだった。
日本に住む娘の出産の為に中国から日本に来る玉玲を描いたこの本、中国人の文化を残しながら揺れる女心が主体で情趣があるのだ。
中国で美しさ故に夫亡き後も男たちが途絶えないし、皆に秘密にしている同棲相手もいる。
その同棲相手周彬に対し今ひとつ心が定まらず、周囲にその関係をひた隠しにして、自分の仕事である金魚の世話をする毎日。
小さな世界で生きてきた主人公玉玲と、水槽に漂う金魚が重なっていく物語の美しさ。
娘のいる日本に来ても、文化の違いと物価の違いで溶け込むことが出来ないまま、娘が考えた日本人男性との見合いを始めてしまう。
水槽に漂う金魚と玉玲が連なり、そのまま揺れる女心に姿を変えていくこの本、終わり方もある暗示で終わってゆくので作品に膨らみが生まれている。