金融NPOは、地域経済にみられる「互酬」性を金融取引の世界にも形成する試みである。金融NPOの一般的な姿は、当該NPOの出資者となった個人が、その何倍かの資金を当該NPOから低利で借り受ける権利を得るというものである。つまり、資金を借りたい者は、当該NPOのコミュニティに参加することで、その権利を得ることが出来るのである。一方、出資者に対しては、低利であってもその行き先が「目に見える」ことから、その資金提供ニーズに応えることができる。この様に、金融NPOが持続可能であるためには、「社会への配当」をもたらすような事業目的が何といっても重要であり、それによって出資者と借り手の間に強い信頼関係を構築することが可能となるのである。この様な仕組みは、営利の世界における民間金融会社の融資を補完し、多様な資金ニーズに応えることを可能にする。
金融NPOは、社会の多様な資金ニーズに応え、富の偏在による貧困の問題を緩和していく上でも貴重な仕組みである。本書を読んで意外であったのは、こうした活動を支える専門家がかなり多く、人的基盤が充実していることであった。金融NPOが飛躍する可能性、ポテンシャルは整っている。後は、国や地方公共団体の政策によるサポート等により、それを育成する文化を社会に根付かせることが重要なのではないか。こうした取り組みは、これまでの政策メニューには無かった新たな社会政策の可能性を開くことに繋がるのかも知れない。