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けれども、現代日本の経済論戦のもっとも重要な戦場の一つが金融をめぐる問題であることはいうまでもない。金融の「わかりにくさ」が人々の経済についての理解を阻害しているとしたら、その結果は大変深刻なものになりかねない。
この本は「金融に関する諸問題を理解するためのてがかりを提供しようとするもの」である。いうまでもなく、著者は積極的な金融政策の発動提言し続けている著名な経済学者である。しかし、そうした現実的な「諸問題や疑問に対する回答は直ちに得られるものではなく、金融の仕組みと理論について一定の基礎的な理解が必要である」。
この本ではそうした基礎の理解に多くの紙数があてられており、本書を読み進めるうちに、読者はそうした基礎を手にいれるだろう。そうした基礎の重要さは、たとえば、次のような問題を考えてみれば良い。『エコノミスト』2003年4月26日号で、野口悠紀雄氏は実質利子率は実物的要因によって決まるもので、金融政策によっては実質利子率は変わらない、と述べている。けれども金融論の基礎が教えることは違う。本書205頁のフィッシャー方程式の解説にみられるように、物価の変動が予想される場合、短期の在庫投資や長期の備投資に関わるのは、期待実質利子率である。金融政策が物価変動についての予想を変化させるならば、在庫投資や設備投資は変化するかもしれないのである。
本物の基礎を学びたい人にぜひ勧めたい。
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