著者の吉本佳生氏は経済学者ですが、オプションを始めとする金融工学の研究にも通じており、2005年に刊行された「金融広告を読め」(光文社新書)などでそれを活用した商品―仕組預金(満期繰上条項付預金)や元本確保型投資信託、リスク限定型投資信託などの「裏」を明らかにし、「これらは投資家のためにならない商品である」と説かれている方として知られています。
この本は竹川美奈子氏が書かれた「投資信託にだまされるな!」の事実上の続編という形になり、投資信託以外―預金、保険、債券といった金融商品で昨今登場した複雑な仕掛けのものの実態を説いています。「週刊ダイヤモンド」2007年6月の特集記事『金融商品の罠』に収録された内容を一部改訂するなどし、オプション取引などを活用したこれらの商品が、投資家にとってどれだけ「不利」なものであるかが良く書かれていると思います。
また、「円安や原油高になるとインフレが起こるので、外貨投資をすべきだ」という意見に対する検証批判や、円安・円高の構造検証、これらの金融商品の背景にあるオプション取引や先物取引に関する説明もなされており、金融機関などが発する情報を鵜呑みにすることがいかに危険であるかということを、認識させてくれる内容のように感じました。
「金融広告を読め」や「週刊ダイヤモンド」の件の記事を読んだ方などには、それらと重複する箇所が多いために「承知のこと」となる場所が多いと思われますが、「金利ステップアップ型」の預金や債券、それに元本確保型の変額年金保険を購入しようと考えている方などには、一度目を通してほしい内容のように見えました。