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金融が乗っ取る世界経済 - 21世紀の憂鬱 (中公新書)
 
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金融が乗っ取る世界経済 - 21世紀の憂鬱 (中公新書) [新書]

ロナルド・ドーア
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

暴れ回る金融が実体経済を翻弄する。世界を不況に陥れた金融恐慌の後も改革は進まない。日本への理解も深い碩学による警世の書。

登録情報

  • 新書: 242ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2011/10/22)
  • ISBN-10: 4121021320
  • ISBN-13: 978-4121021328
  • 発売日: 2011/10/22
  • 商品の寸法: 17.4 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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19 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 西山達弘 トップ500レビュアー
戦後からの世界経済を俯瞰し、どのようにして「金融化」が進んできたのかを論理的に分析している。
日独経済とアングロサクソン経済を比較研究してきた著者らしく、日独モデルについて親和的である。

その日本経済については、90年代以降大きく英米モデルに舵を切ったとする。それが、規制緩和、競争原理、コーポレートガバナンス、自己責任原則による福祉国家のスリム化であり、現在の民主党政権の脱官僚、政治主導へとつながっているともいう。

まず、「金融化」の典型的な例として、貿易に伴う実需に比べて為替取引の毎日の取引額が100倍に達していることを紹介し、金融暴走の姿を明確に示す。
また、近年発達した市場予測の価格変動モデルが未曾有の激しさで上昇下降する現実の市場を予測できなかったことを挙げ、「科学的」と呼ばれたモデルの欠陥を指摘している。
実際、イギリスでは金融危機後に国王が経済学はなぜこの事態を予測できなかったのかとの問いに対し、「市場の効率性仮説」を使うことにより、ある一定の条件でしか予測は可能にならないと経済学者が答えていることをこき下ろしている。

リーマンショック直後に世界が抱いた危機感は、各国政府の大量の資金供給により落ち着きを取り戻しつつある今、再び世界経済は金融化の道を歩き始めていると著者は懸念する。
そして金融化の大きな弊害が、短期的な成果を求める株主と多くの成果報酬を求める経営者があいまって、途方もない高額報酬を受け取る経営者が増加していることだと指摘する。
この金融化の流れは、日本も例外ではないと著者は危惧しつつ筆を置いている。

さらにはあとがきで、中国とアメリカとの対立について、日本が果たすべき役割を読者に考えさせる仕掛けをも用意している。

かつて日本経済の強みとされた株式持合いによる長期的資本関係と配当を求めずに低収益で売上拡大を図りつつ従業員の雇用を守ってきた日本的経営の姿は、もはや過去のものとなったが、英米モデルではない新たな日本モデルを再構築していく時なのではないかと考えさせられた。

その意味で、国力の源泉についての二つの考え方を紹介している言葉が印象に残る。
「新しい投資の結果として格差拡大があまりなく、生活水準が上がったか、教育・医療・福祉制度が強化されたか、自国がより住みやすい国になったか」でとらえる考え方と「国民所得の成長率が他国に比べて大きいか小さいか」でとらえる考え方の二つである。

日本でも、後者の考え方が主流になりつつあるように見えるが、もはやそんな時代は終わりにしたい。
このレビューは参考になりましたか?
22 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
リーマンショック以降、投資ファンドや投資ファンド化した大銀行の、世界経済に及ぼす(時に破滅的な)影響力が多くの人々から注目されている。いまや世界中の心ある人々が、世界の大手金融機関へ厳しい目を向けていると言っていいだろう。

だが、その割に、専門家ではない我々一般人が理解できるレベルで語られ、かつ金融問題に関する知的欲求を満たしてくれる書籍は少ない。「金融機関がなぜそれほどに社会において力を持つに至ったのか?」「金融機関が力を持つことがなぜ問題なのか?」「どうやったら金融機関の破滅的な影響力から社会を守れるのか?」・・・。本書はそれらの疑問に答える記述を含め、わかりやすく、しかも深い考察がある。時宜を得た出版だが、昨今の時事問題のみに焦点を当てているわけでなく、金融問題に関し、世界大の視点で、少し長めのスパンを設定して論じているので、その内容は信頼に値すると思う。

どこまで伝わるか不安だが、上の疑問に関しての本書の答えを(無論、私の理解した範囲で、に過ぎないが)若干ご紹介する。

まず、「なぜ金融機関が社会において力を持つに至ったのか?」だが、これに答えるには、金融機関が力を持つ先進国では何が経済原則として重視されているか、が前提問題となる。それは、
・消費者主権主義に基づく規制撤廃
・効率の観点からも、道徳的な観点からも望ましい、競争原理の貫徹
・株主価値の最大化を基調とするコーポレート・ガバナンスの導入
・株式市場を経済の主軸とし、自己責任の徹底による、肥大化した福祉国家のスリム化
である(p7)。
 聞き覚えのあるフレーズが並ぶ。日本も橋本政権から小泉政権にかけてこれらを経済の指導原理として取り入れたのだから当然だ。それをした社会では論理的に株主(投資家)の利益が何より重視される。そして、その株式ないし投資資金に関わる巨額の取引をなすのが投資ファンドであり、投資ファンド化した銀行なのであるから、彼らが力を持つのも当然なのである。

 では、「なぜ金融機関が力を持つことが問題なのか」?それは投資ファンドや投資ファンド化した銀行がより高い利潤を求めリスクの高い取引をするようになり、一旦そのリスクが顕在化すると、その破滅的影響が社会全体に及ぶからである。また、リスクが顕在化せず巨額の利益を収めたとしても、その利益は投資家と金融機関自体にのみ還元されるのであり、社会全体の経済格差が広がるからである(p70以下)。より広く見れば、株主・投資家の利益の極大化が志向される社会においては、そうでない社会に比べ「教育や医療、福祉制度が」なおざりにされ、「総じて自国がより住みにくい国になる」からである(p64参照)。

 折から、現在(2011年11月5日)日本の国論を二分する形でTPPへの交渉参加の是非が論議されている。マスコミは視野狭窄なのかあまり論じないが、金融分野の自由化もTPPの議題になっている。TPPに参加し金融をアメリカの言いなりに自由化すればどうなるか、答えは火を見るより明らかだろう。
このレビューは参考になりましたか?
11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Gori トップ500レビュアー VINE™ メンバー
, 2011/11/16

レビュー対象商品: 金融が乗っ取る世界経済 - 21世紀の憂鬱 (中公新書) (新書)
著者はイギリス人の経済学者。本書は日本語で執筆されている。しかもたいへん明晰な日本語である。
著者の専門はアメリカ、英国、カナダ、オーストラリア型の資本主義(アングロ・サクソン型資本主義)と
日本(およびドイツ)型の資本主義の比較である。

その結果つぎのことが導きだされた。
制度的構造の違い
(英米豪加)無名の当事者が取引しあう市場に統合されたシステム。
(日独)  知り合う、取引し合う当事者のネットワークに統合されたシステム。

人生観・動機付けの構造の違い
(英米豪加)自己利益の追求を、人間にとって当然の基本的な動機付けとして、
      他人の利益追求を妨害しない程度に規制はしても自由雨に行わせるべきだとした思想。
(日独)  もちろんお金はありがたいものだが、人間がなぜ一生懸命、かつ良心的に、創造的に
      企業家精神を発揮して働くのかと問われれば、お金はその理由のごく一部に過ぎない。
      仕事自体の充実感や、職場の結束、取引関係やその他の社会菅家から生まれる
      義理や人情、さらに働く環境での権力や報酬の配分が公正であるかどうかといった
      『公平感』などを重要視する態度。

で、これらの資本主義は1990年辺りまでは顕著だった。ところが「金融化」によってそれはもろくも崩れていく。
「金融化」しているかどうかの指標の一つはその国のGDPの割合が、銀行、保険、証券といった
金融業者にどれだけ湿られているかである。

私は考える。
金融化とは、つまり
グローバリズムに等しく、それは即ちアメリカンルール化であり、その根本は強奪資本主義である。
その実現の場、それが僕はTPPであると考える。上記に示したように英米豪加がTPPに加わるというのは正しくそうではないのか。
TPPはまた、安全保障上の重要な契約であることは間違いないが、米国は日本をこの安全保障上の盾とするつもりなのである。
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