江國さんの小説はとても好きです。
独特の文体と独特の世界にどっぷりと浸り、読み終えるのが勿体なくなるほど。
でも、この作品は流し読みしてしまったのです。
何が足りなかったのかと考えてみると、
主人公である佐和子の切実さであるように思います。
達哉だけは妹と共有したくなかったこと。
東京を捨てたこと。
田淵と不倫したこと。
達哉を捨てたこと。
いままでの小説の主人公たちは、世間的な常識はどうあれ、
そうしなくてはならないという切実さに駆られていました。
そしてそれが、江國作品の最大の魅力でした。
でも、佐和子からはそれが感じられなかったのです。
そしてその結果、佐和子はただの理解不能な人になりました。
佐和子の倫理観や言動はいままでの小説と変わらないのに、
なぜか佐和子の言葉は上滑りして聞こえました。
とても残念です。