アスミックから『犬神家の一族』がリリースされて以来、全国の石坂金田一ファン、市川崑ファンが待ちわびていた、残る4作品のDVD化。
本編はいずれも、かつて東宝ビデオから発売されていたLD&ビデオソフトとは異なる新たなマスターを使っており、既発売のソフトの黒く潰れ気味だった画面で鑑賞していたファンにとっては、目が覚めるような綺麗な映像が堪能できる。
『悪魔の手毬唄』の冬枯れの場景、『獄門島』の夏の海、『女王蜂』の鮮やかな紅葉、『病院坂』の暗く淀んだ廃屋…どれもが素晴らしいクオリティの映像で楽しめる。
特典ディスクは石坂&市川の対談、加藤武の単独インタビューが撮り下ろし。
それにかつて東京12チャンネル(現・テレビ東京)でオンエアされた石坂浩二にスポットを当てた30分番組「われらの主役」と、世田谷文学館でしか観られない横溝正史の記録映画(22分)を収録。4作品の予告編は各ディスクに収録されている。
付属のブックレットは「キネマ旬報」の横溝作品の特集を組んだバックナンバーから抜粋・再構成したものであり、同誌を持っていない人には興味深い当時のインタビューが読めるだろう。ちなみにこのブックレットの表1・表4は『病院坂』公開時に初日の先着プレゼントとして制作されたノベルティ「石坂浩二デザインのブックカバー」の絵柄をそのまま再現している(実際は市川崑の絵も加わわっているが)。
欲を言えば、製作会社や発売元の違いという障害はあれど、『犬神家』DVDも同時に収められるようなスペースをBOXに作って欲しかった。
『女王蜂』の映像特典としてアナウンスされていた、カネボウとのタイアップ映像もメーカー側の都合で未収録となった点も惜しい。
しかし全国の横溝ファン、昭和のミステリー映画ファンなら絶対に“買い!”の逸品であることには間違いないと言えよう。